消費電力削減に有効なストレージ
米国Micron Technology社と韓国Solidigm社(SK hynixの子会社<Intel社のメモリ事業部門を買収して設立>)は、NAND型フラッシュメモリ製造技術を高度化したSSDストレージの大容量化に舵を切りました。今回はこの話題を解説します。
高集積・大容量・低消費電力
昨年の11月、両社はそれぞれ「Micron6550 ION」容量61.44TB(テラバイト)とデータセンター向け新モデル「SolidigmD5-P5336」容量122.88TB(テラバイト)を発表しており、高まる大容量ニーズに応えたモデル。
容量以外でもMicron製品は3D NAND型フラッシュメモリ第8世代「Micron G8 NAND」となり、この世代はメモリセル(記憶素子)を232層に積層できる高密度化と1つのメモリセル内に3bitが記録できるトリプルレベルセル(TLC)化および低い消費電力性能を実現しています。
たとえば同製品は20ワット程度の消費電力時でのシーケンシャルデータの読み取り速度が12GBpsと業界トップクラスのハイスピード、タイムパフォーマンスに優れ、省エネにも有効です。
Solidigm製品では、192層に積層させたNAND型フラッシュメモリおよび1つのメモリセルに4bitを記録できるクアッドレベルセル(QLC)が特徴。消費電力性能比較では、旧モデルの容量61.44TBからストレージ量が倍増した分の消費電力が増えていないことが明らかになっています。
見込まれる高い電力削減効果
近年、AI活用等で急増するデータセンターでの高い消費電力量の削減策は企業にとって重要な課題となってきました。これを解決できれば高騰する電気料負担の軽減にもつながる可能性が生じます。
特にGPU(グラフィックス処理装置)サーバー等における利用には大きな電力を消費する傾向が強く、いかに消費電力量の抑制効果が高い製品を採用できるか問われ始めています。
SSD1台あたりの容量が劇的に増えれば、それに伴う必要な台数増加やラックスペースの削減・抑制効果が見込まれ、ストレージ確保に必要な電力量を漸減できます。処理速度に関してもHDDに比して数段速いSSDはAI(人工知能)モデルの学習や推論への活用が今後ますます進んでいくことが予見されるのです。
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