高い精度を誇る気象予測AIの活用には
23年にヨーロッパ北西部を襲ったハリケーンは各地に甚大な被害をもたらしました。
発生した爆弾低気圧は、観測史上希少な天気を記録。既存の気象予測モデルの限界をあらわし、気候変動で災害が頻発する現代社会においてピンポイントで正確な予測が生死を分けかねない問題を提起しました
頻発する異常気象をどう予測しつつ、災害発生事態に備えることができるのか?
こうした課題に気象予測AIの有用性が高いことが判明しています。
開発中のAIシステム
Microsoft社が開発中の地球規模の大気変数を予測できる機械学習モデルである「Aurora」。複数の要因が複雑に絡む大気環境変化の予報タスクにも適応、中解像度から高解像度の天気予報、大気汚染予知、海波浪予報などの用途に活用が期待されています。
100万時間を超える多様な気象条件や気候シミュレーションによるテスト・トレーニングにより、学習モデルは、データが少ない地域や異常気象のシナリオでも、幅広い予測タスクで的確に予報、これは従来型の数値を用いた天気予報システムの計算コストの数十分の1。計算速度はこれまでの5,000倍と見積もられるほど高速です。
計算コスト
従来型の数値計算方式による予報では毎回の計算に要するコストがAIモデルの数十倍と言われており、100万時間を超える物理データに基づきトレーニングされた大規模AIモデルと比較すれば、雲泥の差。
発生した熱帯低気圧の進路予測でも、世界の複数の主要な予報センターのシステムを上回り、ピンポイントでの正確な予測を実現しているのです。
GPU効果
高性能ものでは、旧来のシステムでは数時間を要する予測結果をわずか数秒で生成できるほどの能力を持つのが「GPU」。
これまで気象予報サービスが不十分だった地域や場所にあっても局所的に高解像度かつ緻密な予測への活用が可能となりつつあります。
将来的には、僻地や島嶼部など災害発生時の緊急避難が難しいケースにおいて、迅速に避難を促すための早期予測等への高い効果が考えられ、災害対策や激甚災害に備えるツールとして期待できるのです。