ネットワークインフラの整備・改善の実現に必要なもの

新型ウィルス蔓延による影響が落ち着き、日本だけではなく世界各地でオリンピックを始めたくさんのイベント開催が目白押しとなっている昨今。不特定多数の人間が集まるイベント会場やスタジアムにおいては、「通信ネットワークインフラ整備」に対する課題が浮き彫りになりつつあります。来場者がオンライン入場からSNSへの投稿まで、幅広い用途で会場のネットワークを利用することが珍しいことではなくなったことが影響していることが明らかになっています。

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現状分析

今やホテルやレストラン、あるいは駅や空港でフリーWi-Fi(ゲストWi-Fi)を探すのは日常茶飯事。またスポーツのインターネット観戦がスタンダードとなり、大画面のテレビでくつろぎながら迫力の試合観戦が実現。試合を観ながら選手の成績をチェックしたり、応援にSNSを用いて動画や音声をシェアすることは当たり前の時代です。

スポーツチームや大型施設では「スタジアムに行き、チケット代金を支払い観戦する手間ひまの負担」を上回るメリットをもたらすアイデアやひと工夫が必要になりました。そのためスマートフォンを使った付加価値サービスの提供は今や必須と言えます。たとえば「ネット購入でのモバイルチケット入場」「座席についたままのモバイルオーダーから自席での受け取り」「会場内の混んでいないトイレ検索」といったサービス。昨今では施設内の人流をリアルタイムに分析して適切な導線設計からオペレーションを比較検討して実施できるのです。

ネットワーク利用状況可視化の必要性

スタジアム等の大規模施設向けネットワークインフラ構築には、ホスピタリティ、小売、マーケティング等の幅広い要件を併せ持つ要素が不可欠。無線Wi-Fiから有線ネットワーク、ネットワーク管理、セキュリティ技術を活用してネットワークインフラをきちんと管理・整備できているか問われます。

また大規模施設やスポーツチームがデータを活用して運用を効率化できたり、ビジネスチャンスを見いだしたりすることを手助けする機能も備え始めています。たとえばスポーツスタジアムにおけるデータの使用量は、年率67%の増加率を遂げており、スポーツを含むエンターテインメント分野のデータ使用量は27年までに他のコンシューマー分野の4倍の成長率を予測するレポートもあります。

あるスポーツチームでは、自治体から混雑緩和策としてスタジアムの出入口にエスカレーター設置を求められました。これに対してWi-Fi利用データから混雑状況を分析、エスカレーターを設置するレベルにはないことを自治体側に提示、莫大な設備投資を回避できた事例が紹介されています。スタジアムや大型施設の人流/行動分析に特化した分析機能が役に立ったのです。

6GHz帯のもたらす効果

無線通信規格「Wi-Fi6E」から新たに加わった6GHz帯の登場により、これまでの4倍のチャネル幅が使えるとともに広帯域・大容量通信が必要なアプリ、遅延を許容できないアプリにも対応できるようになりました。加えてさまざまなバージョンのスマートフォン端末が入り混じる事態にも、旧規格Wi-Fiや古い無線暗号化方式をサポートでき、それ以前のバージョンの端末もカバーさせる必要性が出てきます。そうした要求にも互換性モード(Transition Mode)を使い、カバーできるのも「6E」の持つ優れた先進性。

クラウドシフトやたくさんのアプリの利用が増えアップデート通信が増加したことで業務におけるトラフィック量は全体的に増えています。Wi-Fiを含めたネットワークリソースを効果的に使い、ネットワークトラフィックを可視化・管理できれば、不要不急のネットワーク利用や混雑を事前予測することでトラフィックを柔軟に減らして生産性の高い業務体制が実現できるのです。

日本での事例は

KDDIは先日、兵庫県の甲子園球場の観客席エリア設置済みの5GのSub6(3.7GHz帯)基地局をMMU(Massive MIMO Unit)対応設備に転換、基地局間の相互干渉を低減させる無線リソース管理技術を適用して通信品質向上への取り組みを続けており、従来の5G通信と比較すると混雑時のSub6の周波数利用効率が大幅改善、観客席エリアが満席となっても通信速度が1.6倍に上ったことを公表しています。

同社では今後、5GSA(スタンドアローン)のネットワークスライシングサービスの提供を予定、野球中継等の画像配信等を含め野心的な通信インフラ整備を進めていく計画です。