最適なWindowsOS移行へのステップアップ方法
企業におけるOSシェアナンバーワンのWindows10は『2025年10月14日』でのサポート終了が迫っており、何らかの形で対応は必須です。
ただし移行には幾つかやり方があり、いずれを採用すべきかもIT担当者の腕の見せ所の一つ。一般的には利用中のPCスペックが新OSに対応可能であれば、そのままアップグレードする方が手軽ではあります。
一方、既存OSのデータを完全削除して新OSをインストールさせる「クリーンインストール」というやり方では、不要になったアプリケーション、古いデバイスドライバ、たまりすぎたキャッシュファイルなど新OSに残さず、まっさらな状態でPCを利用できタスクの処理速度の低下を招く不要なファイルを引き継がずに済むメリットをもたらすのです。
このやり方を採用すれば、長年使い続けて遅くなっていたPCの処理速度が大きく改善され、たまっていた不要ファイルの整理整頓もでき一石二鳥とも言えるのです。
状況を的確に判断する
そうは言ってもクリーンインストールはどんな場合にも最適解ではなく、アップグレードに比べると慎重さが要求されるもの。デメリットとしてあげられているのが「データの引き継ぎ」。ディスク(ストレージ)は初期化され、保持していたアプリケーションのデータの移行は別途必要となってきます。
ローカルデータをクラウドなどに手動転送するのは相当の手間ひまがかかり、サードパーティー製などのデータ移行ツールの使用はデータ漏洩・流出のリスクが潜んでいるのです。ほかにもたとえば、ユーザー認証システムを使っていた場合など、PC側の再セットアップが必要となり余計な手間ひまが発生しかねません。
データ移行の課題解決には
新OSのシステム要件を満たしていないケースではPC総入れ替えも選択肢の一つですが、それに伴うデータ移行もつきものです。ファイル同期サービスやデータ移行ツールを使い、外部ストレージやクラウドに退避させることも検討が必要な場合があります。
所有データが数百GBから数十TB以上になっている場合など、データ量によっては全データの手動転送には時間もコストも相当程度かかるのが一般的。それを担当するIT人員確保も課題の一つです。
OS移行に伴う作業には「互換性・ハードウェア・ソフトウェア等」を起因とする問題が発生しやすく、アップグレードに失敗してデータ損失や障害を引き起こすリスクは少なくないのも実情。予防措置としてアップグレードなどOS移行前には「既存データのフルバックアップ取得」が望ましいと言えるのです。
ハードウェア要件の再整理
これまで見てきた通り、OS移行には最新システムを実行できない老朽化した既存PCを除外、要件にマッチしたハードウェアへの交換を綿密に計画する必要性が出てきます。そこで移行に伴う要件を再整理しました。要件の確認には下表をご利用ください。
要件 | 詳細 | 注意事項 |
---|---|---|
①UEFI、TPM、セキュアブートへ対応済であること | 統合拡張ファームウェアインタフェース(UEFI) トラステッドプラットフォームモジュール(TPM) セキュアブート | これらはセキュリティ確保の観点から必須、OS10でも対応済の機種も多い。 |
②対応プロセッサ | Intel CPU<8世代以降> AMD<3xxx以降> Qualcomm Snapdragon<7c以降> | Windows 11バージョン23H2、24H2のインストール要件にマッチできること。プロセッサは2018年後半以降に製造されたPCが該当する。 |
③RAM(Random Access Memory)の容量 | 最低4GBを搭載 | 業務用やパフォーマンスを存分に発揮するには8GBが望ましい。 |
④インターネット接続環境とMicrosoftアカウントの用意 | インストールと初期セットアップ時に必要 |
移行への具体的ステップは
OS移行を計画的にスムーズに進めるには、順序立てて着実に実行していく必要があります。今回はそのための簡易的なステップをご紹介します。
事前準備(テストシナリオの作成と実施) | テスト担当者は、Windows11のPCを用いて動作確認を行い、ユーザーが利用している必要な業務用アプリ、ツール、ソフトウェアなどとの連携を検証。OS10で動作するアプリケーションの多くは、一般的には 11でも動作するものと予測されていますが、業務アプリなど万が一の長期利用の停止を避けるうえでもテストは必ず実施すべき。レガシーアプリや社内アプリ含め検証すべき対象と言えます。 |
新たな機能に関する事前の調査研究 | 新OSに搭載された「Copilot」を始めとするAIベースの機能の活用方法など、生産性を向上させる学習やトレーニングを通じて更なる業務効率化につながりやすいヒントやアイデアの考案が推奨されます。 |
試験導入から本番展開へ | ユーザーは「10」と「11」のパフォーマンスに顕著な差異を感じることは少ないものと予想されています。差異が見つかった場合には調査を行い、利用の際のネガティブな印象操作や認識をもたらすことを避ける必要があります。 また新OSへのポジティブな評価を得るには、各種トレーニングを実施するのも一つの手。対面やオンライントレーニングを通じてシステムの上手な使い方や活用方法を解説、説明すべきでしょう。ユーザーの生産性向上への取り組みと士気に与える影響を考慮すればこうした対応は重要です。 |