AI搭載PCへの乗り替えや本格的業務利用を見据えるべき時期は

チャットGptやグーグルGemini、マイクロソフトCopilotと言った新たなAIが続々と登場するなか、AI利用に最適化されたPC導入を検討され始めている方も多いものと思われます。
導入台数が従来型を上回り始めるのはいつ頃になりそうなのか?利用すべきメリットは何だろう?と気になっているのではないでしょうか。

今年5月下旬頃に出された調査機関の予測では、26年末から27年春夏にかけ企業の購入PCにおけるその多くをAI搭載PCが占め始めるだろうとの調査結果が出ています。既に企業におけるAI対応PC導入を推進する動きは、AI利用に特化した半導体の需要を増加させ、PCメーカー側ではクラウドを介さずPC本体で実行できることによる処理の加速化やセキュリティ強化などのメリットを全面に打ち出し、AI活用に積極的に取り組む企業のIT予算を狙い開発と販売競争に余念のない動きを見せています。

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メーカー強気の販売戦略

たとえばメーカー大手Dellでは今年2月NPU内蔵のAI対応PCを発表、最高財務責任者は「将来的PC買い替えサイクルおよびAIがPC市場に与える長期的な影響について、われわれは引き続き強気だ」と述べ、生産の拡大基調にあることを強調しています。

Microsoftもまた5月にAI対応のPC「Copilot+」シリーズを発表、「これまでの歴史で最も高速かつインテリジェントなWindowsPCである」と力説、デバイス自体がAzure上で動作する大規模言語モデル(LLM)や小規模言語モデル(SLM)に接続して利用ができる高い機能性を有していることをアピールしています。

識者はこうしたメーカー側の取り組みは、ユーザー側のインフラコストの急激な上昇とAI利用によるプライバシーやセキュリティリスクへの重大な懸念が芽生え始めており、エンドユーザー向け生成AIアプリケーションは将来的に遠隔地のデータセンターではなく、現場にて実行されるべきとの共通認識が生まれ始めたことに起因すると述べています。

もたらされるメリットは

AIをローカルにて実行できれば、これまでクラウド上にてそのほとんどの処理をしていたため発生したレイテンシー(遅延)が解消され、高速パフォーマンスによる生産性向上や推論コストの削減、デバイス上におけるプライバシーやセキュリティの確保、PCやPCに接続されたデバイス(カメラやマイク、ストレージ装置等)に保持されたローカルデータへのアクセスの活用およびその機能や体験の向上、アプリやツール開発にも利用でき一石二鳥とも三鳥とも言える波及効果も高いのです。

現状の課題は

しかしながら今のところAI搭載PCの需要は伸び悩みをみせており、購入や所有するメリットがユーザーに明確になっていないことが要因になっているものと見られます。そうは言っても新型ウィルス蔓延によるテレワーク移行にあたって購入されたPCのリプレース時期を迎え、今年の下期から徐々に更新サイクルに入るものと予測されています。

Windows10サポート終了(EOS)もまた来年10月に迫っており、業務デジタル化や生産性向上へ力強く取り組んでいる企業にとっては急務と言えるでしょう。現時点ではAIのほとんどはクラウド側で処理されており、PCにNPUを搭載する必要性はありませんでした。

課題の解決につながるのは

しかし、全社的課題となりつつあるのがAIを利用する際に大量の電力を消費せざるを得ないサービスプロバイダーが運用するデータセンター。また従来型PCではAIのプロセス処理を実行する場合にロジック(システム内で情報が処理される場所)とメモリ(データが格納される場所)との間でデータ転送を繰り返しており、実は膨大な電力エネルギーを要する非効率極まりないしろもの。

電力エネルギー消費におけるコスト負担増は、経営にも深刻な悪影響を及ぼしかねません。こうした状況を少しずつながらも改善につなげやすいのも実はAI利用に最適化されたPCの導入と運用。耐用年数を超えた古いPCを使い続けることで電力コストは確実に上がり続けるのです。