実は電力爆食いだったAI?!
昨年グーグルは同社サービスによって排出された温室効果ガス量が二酸化炭素換算でおよそ1430万トンを記録したと発表しました。これは19年と比べ48%の大幅な増加率。生成AI関連の開発や利用が急速に進んだことで同社データセンターでの電力消費がうなぎ登りとなった結果です。
生成AIの活発な利用に伴う大規模データセンターでの管理運用を含んだ電力消費は急拡大をみせており、生成AIから回答を得るには「グーグル検索」の10倍の電力コストがかかるとの試算が出ています。
倍増が予見される電力消費量
IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)は、26年のエネルギー関連の予測として、グローバルデータセンターの電力消費量は22年の2倍以上に急増するであろうとの調査結果を公表。これは日本全体の電力消費量に匹敵する超巨大なもの。
22年に世界全体で推定460テラワット時(TWh)を消費したデータセンターの総電力消費量は、26年には1000TWh以上に達すると算出されているのです。
危機的状況
長引くウクライナ侵攻やイスラエルパレスチナ紛争の再燃は危ういエネルギー供給問題を再認識させました。倍増が予測される電力調達は企業にとって優先順位の高い課題であり続けています。引き続き高騰する電力などのエネルギーコストの負担は企業経営に重くのしかかってくるでしょう。
展望は
そうしたなかAIの進化にはエネルギー面でのブレイクスルーが必要であり、核融合発電技術をも視野に入れたのがMicrosoft。28年から核融合により発電された電力の購入契約をHelion Energy社と結んだことを公表しています。
日本もデータセンターのAI分野の電力消費は27年には現在の1.5倍と予測され、AI活用や進化には大量のGPUやAIチップの調達が必須。クラウドベンダやデータセンター事業者は独自AIチップ開発やNVIDIAからの調達に血眼と言われます。
十分なチップが供給され始めれば、次は膨大なチップを動かす大量の電力をどこから調達するかが問題となってきます。
業務効率化や生産性向上に欠かせない技術としてAI活用が進めば進むほど、必然的に足らなくなるのが『電力の供給』問題。調達に向けた戦略立案および、いかに省電力性能を向上できるかが今後問われて来るのです。