AIの具体的活用策を考えるヒント

たとえばOpenAI社の大規模言語モデル(LLM)を内蔵した「Copilot for Microsoft 365」。サービス改訂に伴い一人ユーザーからでも購入可能になり、導入に向けたハードルは依然と比べ大きく下がりました。そうは言ってもユーザーから「利用イメージがわかない」「使い方が分からない」との声も多く、関心自体は高いもののまだまだ導入には至っていない企業がほとんど。

実際に使っているユーザーはAIをどのように業務に活用しているのでしょうか?

具体例

現在、登場しているAIサービスの大半が大規模言語モデル(LLM)を内蔵しており、「プロンプト」と呼ばれる自然言語での指示による公開データと非公開データを使った文書作成や編集、要約やグラフ作成、データ分析などを実行できます。

Copilotではユーザーが詳細なプロンプトを書き込まずとも、対話形式で結果に結び付ける工夫が随所に盛り込まれ、LLMによる出力とユーザー企業テナント内の既存データを参照した「Microsoft Graph」を併用、TeamsやOutlook、OneDrive、SharePoint等に蓄積した情報をもとに自社に合わせた出力結果が返ってきます。

自然言語による作業効率の向上

たとえば日本語にも順次対応を開始しているCopilot for Excelの場合を解説すると、Copilotを利用にはExcelファイルがOneDrive、またはSharePointに保存され、データが「テーブル形式」に変換されていることが前提条件。

適切に変換されていないテーブルのデータ(表)を選択しても、Copilot向け機能がハイライトされず利用不可です。

そうした前提条件を踏まえ、Copilotアイコンを押下するとシート右側にCopilot(プレビュー)ウィンドウが表示されます。このウィンドウ内でどのような指示をするかのナビゲーションと指示結果のプレビューが表示される仕様です。ユーザーは基本的にこのウィンドウを使って生成AIの機能をExcelのシートに適用します。Copilot(プレビュー)ウィンドウには『並べかえ』『分析』と言った基本プロンプトの例が表示され、さらに細かいプロンプトもあります。

活用例では、別々の列に記録されている「商品コード」と「商品名」を合体させ、1つのセルにするプロンプトを指示したとします。「商品コードと商品名を組み合わせた列を追加」と書き込み、それぞれExcelのどの列かをAIが自動的に判断、関数を組み込んだ処理案を提示してくれるのです。問題がなければそれを列に追加する指示を出します。

また並び替えやグラフの作成についても、自然言語による指示を用いてフィールドの位置や関数そのものを指定せずに処理。社内データにとどまらず公表されている地域別統計などオープンデータの可視化にも役立ちます。

メール業務支援例

これまでは海外から届いた英文メールの内容の確認時には翻訳サイトにメール本文を貼り付け、翻訳された内容を確認していました。Copilot for Outlookでは画面横のウィンドウで要約をクリック、日本語に翻訳された文章かつ要約されたものを直接確認できます。

他にも客先との打ち合わせ日程の調整メールの作成と指示すると、『ここが空いています』と候補日時のダミー文を挿入してくれたり、文体のフォーマル・カジュアル感を選べたり、メールの長さも設定可能、状況に合わせてメール業務を効率化できます。

議事録作成の効率化

的確で誰が発言したかを判別しやすい議事録作成には手間暇がかかり、大変だった会議の要約作業。Copilot for Teamsを用いれば欠席した会議内容を後から確認、そのまま議事録として出力したりできる「インテリジェントミーティングリキャップ」機能が使えます。

たとえばAIが分析した会議の内容を発言者ごとに分離、課題は何だったかを抽出。長時間であっても特定の人物の発言だけを探して確認する使い方も可能です。

検索の効率化

これまではローカルなどに保管されていた社内データの数々を対話形式で検索できるのが「Microsoft 365 Chat」。機能を活用してOutlookやTeams、OneDrive、SharePointなどへの蓄積データから一括で検索が可能に。特定の人物に関するメール内容、やりとりしたファイルなども含め検索できます。検索対象は社内とWebを切り替え可能でWeb情報では商用データの保護がされたCopilotを利用。商用データの保護がされたCopilotでは通常のWeb検索を含め目的に合わせたプログラミングコードの生成や画像生成もできるのです。