ハイブリッドワーク時代のPC管理手法を考える
ハイブリッドワークの浸透に伴い利用場所を問わず多様なデバイスが社内リソースにアクセスする時代。コロナ禍以前の社内PCは「WSUS」(Windows Server Update Service)や「Microsoft Active Directory」(以下、AD)などのツールを用いてほとんどの企業が管理運用をしていました。
ところが社内ネットワークに接続されたPCだけを管理していればよい時代ではなくなり、自宅・コワーキングスペース・サテライトオフィスなど様々な場所における執務が想定されて当然の時代。
PCキッティング業務の効率化には
キッティングとは、機材を使える状態にするために周辺機器や必要なツール類をセットアップしておくこと。企業におけるPCキッティングは、従業員用PCに適切なアカウント割り当てを行い業務できる執務環境の整備や周辺機器の接続確認をふくめ用意することですが、ハイブリッドワーク時代を迎え、この業務をいかに効率的に運用できるかが企業に問われ始めています。
ゼロタッチキッティングの高まる需要
PCキッティングについて尋ねた各企業への調査によると、現時点のキッティング方法は「1台ずつ手作業でクリーンインストール」(55.4%)が最も多く、「クローニングツールの利用」(34.5%)と続いています。
「キッティング方法の変更」を検討している企業に検討中の方法を尋ねたところ、「クローニングツールの活用」が63.2%、「Windows Autopilot」(以下、Autopilot)が42.1%と続きました。 Autopilotは管理者が事前に設定したPCイメージをほぼ自動でセットアップできるサービス。調査からはネットワーク経由でPCキッティングできる『ゼロタッチキッティング』への関心・需要の高さが見て取れます。
PC管理や調達・セキュリティ強化に関する基礎解説
Autopilotの利用には、PC情報を「Microsoft Intune」(以下、Intune)と呼ばれる統合管理型ソリューションにセッティングしたり、「Azure AD」にサインインしたりする必要があります。弊社お知らせブログにて公開中のIntune、Autopilot、Windows11移行問題に関する解説記事を以下にご紹介します。
現状の問題点
便利なキッティングツールやアウトソーシングサービスは増え続けていますが、導入障壁は高いと言わざる得ません。というのもサービス導入には大きなコストがかかってくるため議論になるのが「情報システム部は浮いたコストで何をするか」というもの。新しい取り組みを明示した場合でも、そもそも周囲のシステムへの理解が弱いと意見は通りづらく粗探しや不平不満の対象になりがちです。その結果、キッティングを内製化せざるを得ない「従業員への過度な業務依存」という選択肢が採られる傾向が強いのです。
しかし業務の効率化やDX推進が避けて通れない道である以上、それでは従業員の負担軽減にはつながりません。
Autopilotの活用
先述したソリューションAutopilotサービスを用いれば従業員の自宅にPCを送付してAutopilotを実行するだけで、エンドユーザーのセルフサービスでポリシーに準拠したPCのセットアップが可能です。こうしたテクノロジーを活用すれば苦労して一台ずつ人力でセッティングしたり、外部へのアウトソーシングは不要ですし、システム部門への過度な負担を軽減できる効果が高いのは一目瞭然です。
まとめ
情報システム部門における人員・スキル不足が顕在化している企業では、いつ起こるか分からない新型ウイルス蔓延などを始めとしたリスク要因に対処が難しいと判断せざる得ません。業務が滞れば業績不振に直結するため、PC管理の手間ひまは最小限にとどめるべきなのは論を俟ちません。効率化やリスク対策を考慮したソリューションの導入が重要性を増しています。