先見性の高いPC調達戦略とは
Windows10のサポート終了(End Of Support:EOS)が2025年10月に迫るなか『PC調達やOS切替』をどう計画していくかが課題になりつつあります。最新の「Windows11」は、Windows10と互換性も高く、バージョンアップに伴うトラブルは少ない見込みです。しかもWindows11への移行によりセキュリティが大きく強化されており、時代に合わせた最新機能が利用できたりとメリットが大きいと言われています。
また働き方の多様化によりノート・モバイルPCの持ち出しが増えたため自宅やサテライトオフィスなどでも安全かつ、オフィスと変わらない使用感を提供できることが重要視されつつあります。
ハイブリッドワークに代表される働き方をサポートするには持ち運びが容易で性能の高いPCに対する企業ニーズが高まっており、メモリが最低16GB、SSD搭載、インテルCore i5第11~12世代、本体サイズA4~B5のPCが人気です。
メモリ容量が大きく動作の速いPCを使っていると企業全体の生産性が向上する傾向が見えており、OS11への移行にあわせてPCを入れ替えれば多くの社員からの満足度向上や生産性の向上が期待できます。
◆目次
OS10サポート終了に向けた切り替え準備の重大性
OS10のEOS対応とOS11への移行は必ず行う必要があります。EOSとなる前年のタイミングでOS11搭載のPCに切り替える方が賢い選択と言えます。というのも、PCについても「2025年問題」が存在するから。
2025年はOS10だけでなく、Office2016および2019の延長サポートが終了。それ以前にOffice2013の延長サポートが本年4月に終了しており、2025年に向けた新しいPC環境の移行対応が続きます。半導体需要やハイブリッドワーク・IT環境変化への対応などさまざまな背景を考慮して予想外の変化に対応できるようにしっかりした移行計画を立てておく判断が出来るか。
PC運用管理の課題
実際のPC移行は、単に新しいPCを選定し導入すれば済むという話ではなく、PCの「ライフサイクル管理」を継続的に行っていくという視点が重要になってきます。
1点目は、ハイブリッドワークや在宅勤務など新しい働き方に対応した、PCキッティングや自宅配送などの課題。
オフィス出社時は、社員配布PCもIT部門が主体となりマスター作成やクローニング、デリバリーなどを行っていました。しかし社員の出社が制限され、多様な場所で働くとマスターイメージをどう作成するか?どこでどのようにPCをデリバリーするか?といった作業は非常に複雑になっていきます。
最近は『Windows Autopilot』と呼ばれる、PCを自動でセットアップする仕組みの検討も広がっています。この機能を使い、自宅にPCを配送してMicrosoftアカウントでログインするとOSやアプリケーションの設定値を自動でインストールすることが可能です。
2点目は、原油高や円安化に伴うPCの値上がりなどのコスト課題。対ドル為替レートは2018年と比較して20%ほど円安に進んでおり、PCの仕入価格や販売価格の上昇を見込んでコストパフォーマンスとのバランスをいかに判断するか。
3点目は、OS11への移行に伴う検証作業負担。互換性が高いとはいえメジャーアップグレードによる検証は不可欠です。全面切り替えは現実的ではなく、旧OSとの混在環境でミドルウェアやアプリケーション、各種ドライバなどに影響がでていないかを検証する負担が生じます。
4点目は、PCのライフサイクル管理の課題。OS11へ移行して終わりではなく、OSのアップデートやPCの入れ替え時期判断を含めPC運用管理の在り方を見直す必要性が高まっています。
経済状況やビジネス環境の変化を着実に見極めて素早く検証し、スピーディーに利用できるようにすることはもちろん、臨機応変にPC調達から廃棄までのライフサイクルを適切に管理していくことが重要です。
新しい働き方に対応した企業のPC調達・運用方法
PC運用管理担当者に、PCライフサイクルのフェーズごとの課題や障壁を聞いた結果、最も多い回答は『業務の標準化・マニュアル化』でした。『計画・調達・導入』『把握・配布』『監視・対応』『廃棄』の各フェーズのいずれにおいても30~40%を占める結果になりました。
続いて多いのが『知識・技術の習得・継承』で、さらに『工数・ノウハウの軽減』『人員の確保』と続いています。このことからもPC管理業務の属人化が多くの企業で問題となっており、ノウハウの継承が困難になっています。
ハイブリッドワークが進むと『PC自身がオフィス』という状態が発生します。その中でPC調達から運用までの最適な方法を模索する必要があります。OS11への移行をきっかけに新しい働き方を定着させ、業務への影響を最低限にとどめて適切な運用体制を整えることが求められています。