最適なバックアップ向けストレージは

現在バックアップ用ストレージの選択肢は「テープ」「HDD」「SSD」「クラウドストレージ」などが挙げられます。
最適なデータバックアップシステムを検討・導入する場合、どのように論点を整理して選定すべきかのポイントを解説します。

コストパフォーマンスに優れるのは

1GB当たりのコストを比較すれば、「テープ」は他と比較して低コストで保管運用ができ、大容量で保管期間が長いバックアップデータに適しています。ただし、データの読み書きとも遅く、スピーディーなデータの取り出しなど活用シーンは限定されます。

「HDD」はSSDと比較すると1GB当たりの単価が安く、大容量かつテープとの比較ではデータ読み込み時間が短いことがメリットです。HDDのバックアップストレージ利用は、長期にわたる大容量のバックアップデータの低コスト保存やリストア時間の短縮に強みがあります。しかし、物理的衝撃や振動にも弱く、寿命が長いとは言えないのがデメリット。

「SSD」はHDDと比較してデータ読み書きとも速度が速く、迅速なリストアが必要な際にはSSDがバックアップストレージとして最も適しています。ただし、長期保管するバックアップデータ向けではこの高速性をかならずしも必要とせず、バックアップ用の候補に上がらないケースが多いのも事実。そうは言ってもエネルギー消費量が少なく、長寿命化を続けている点からもデータの長期保管という用途向けでも活用が見込めます。デメリットしてコストの高さがあるのですが、それを上回るメリットも多いのです。

「クラウドストレージ」についてはデータ読み書き速度や利用料金を含め、選択するクラウドベンダーやストレージ階層に依存、いまや無数のオプションが存在します。長期保管に適したストレージを選択できるだけでなく、インフラの管理責任を社外に移して組織の負荷を軽減できるメリットも。そうは言っても、データリストアには、多額のコストがかかるリスクが存在。たとえばコールドストレージ(データアクセスがまれにしか発生しないストレージ)層の場合、テープよりも復旧に長期を要する危険性も高いのです。

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セキュリティ対策やBCPにも必要な視座

参考資料や各種文献といった膨大な数のデータを体系的かつ長期的に保存する必要性が高い機関や企業にとっては、低コストかつ長期的に安全性が保たれたバックアップができる仕組みの整備が不可欠です。たとえば医療機関やヘルスケアカンパニーと言った厳格なコンプライアンス要件を適用してデータ保管運用が必要な組織であれば災害時やサイバー攻撃などに備えてバックアップ体制の信頼性を高める施策は必須。

また昨今セキュリティ対策は全てのストレージに関する不可欠な領域。バックアップデータの長期保管が必要となれば、安全性が保たれたアクセスから長期運用コスト、保存容量や万が一のリストアなど様々な観点から熟慮すべきです。

将来像

有識者は、SSDの容量や容量単価がHDDに近づけば、バックアップ市場は大きく変動していくものと見ており、「必要な設置スペースや冷却設備、電力コストの削減を始めメリットがデメリットを上回れば、現在のHDDからSSDへと移行は進んでいく」と示唆しています。

将来的バックアップツールでは、各種ストレージを一元的に管理、データ特性に応じてデータの保存先を変える「ストレージ階層化」をより容易にまた高度に実現できることが求められます。ストレージ階層化によりデータの運用管理がこれまでより格段に効率化するためには最新のハードウェアやソフトウェアを活用、的確なソリューションを選定して導入できるかが問われるのです。