LANケーブルからの脱却には

現在LAN敷設工事は、メタリックケーブル(LANケーブル)を多用するイーサネットLANが主流。コアスイッチとアクセススイッチ接続部は光ファイバーを用いたケースが多いものの配線の大半はLANケーブルがその多くを占めています。

そうしたなかでFTTH(Fiber To The Home)サービスに使われているPON(Passive Optical Network)技術をオフィス環境のLANに適用させる動きが話題になっています。いわゆるFTTO(Fiber To The Office)と呼ばれるソリューション。

事例

たとえば最近の事例ではOLT(Optical Line Terminal:光回線終端装置)に接続された光ファイバーを光スプリッターで分岐、設置された光APや光HUBを収容。光APはONT(光ネットワーク端末)機能を搭載したWi-Fiアクセスポイントとなっており、この光APや光HUBを介してユーザーや従業員はネットワークに接続できるのです。

活用メリット

この方式を用いるメリットとしてあげられるのが、まず格安のコスト。光ファイバー配線はLANケーブルより2割ほどのコスト削減効果が見込まれ、接続機器等を含めコストの削減につながりやすく、WDM(波長多重伝送)と組み合わせ、テレビ放送などデータ通信以外のサービスを1本の光ファイバーに包含、ネットワーク全体を最適・簡素化でき、コストパフォーマンスに優れています。

LANケーブルでは数年おきに速度向上を図る際など、Ethernet規格ごとに異なる転送レートに対応したケーブルの再配線を行う必要があり、それぞれの規格により信号を伝送する帯域幅にも違いが生じるため「CAT.x(カテゴリ)」と呼ばれるケーブル規格を考慮して設置配線する手間が問題となっていました。

LANケーブルは上記の観点から制約が多く、使い勝手もあまりよくないとも言えるのですが、光ファイバーは最大伝送距離が40Km、最大通信速度50Gbpsであり、腐食に強く、最大寿命は30年と非常に耐久性にも優れます。数年おきに取り替えることもないのです。

ユースケース

LANケーブルの最大通信距離は100mにとどまりますが、光ファイバーを用いれば最大40Km。点在する設備や拠点間をつなぐネットワーク構築であったりと言ったネットワーク性能、配線の容易さ、スケーラビリティの確保に向けた設計がしやすく、病院や学校といった大~中規模施設での利用にも適しているのが特長です。今後の事業を見据えてLANケーブルからの転換を検討してみることをおすすめします。