システム導入による業務効率化には・・・

インボイス制度導入や電子帳簿保存法対応また働き方改革により各種システム導入が急速に進んだ結果、企業における業務効率化や生産性の向上への課題は解決に向かったのでしょうか?
今回はこの話題を取り上げ解説します。

システムの導入状況は

改正電帳法がもたらした電子データで受け渡される帳票類の電子データ保存の義務化、未対応だった企業への宥恕(ゆうじょ)期間が昨年末にて終了したことで対応に向けシステム導入を図る企業が急増したことが判明しています。ただし企業規模別に100人以下の中小企業のみ導入率はいまだ低く推移しており、従業員数に比例して経費精算等のシステムの導入率が高くなっていることが報告されています。

たとえば改正電帳法により受領した領収書の形態によって保存要件が変わってくるのですが、領収書の運用状況をアンケート調査したところ、「電子データのみ提出」(29%)、「状況に応じ領収書原本と電子データいずれか提出」(27%)、「領収書原本のみ提出」(22%)との回答結果に。

上記を見ても領収書の電子データ化が急速に進んでいることが分かっています。紙領収書についてもスキャンしたデータを提出させれば電子データと同じ運用が可能となり、領収書の受領形態にかかわらず電子データに一本化することで効率化を図る企業が増えてきていることが見えてきました。

要因は

企業における経費精算等のシステムの導入増加や領収書の電子データ運用が進む背景には、インボイス制度及び改正電帳法への対応の必要性が生じたことが考えられます。各社が「電帳法対応のクラウド経費精算システム導入」や「導入済みの経費精算システムの追加開発」または「電帳法対応のオンプレミス経費精算システム導入」に取り組みつつあり、特にクラウド型の経費精算システム利用が増加しています。

クラウドニーズが高まった背景には「電子データの保存場所を安価かつ大容量に確保しやすい」、「社内外問わず申請や閲覧、共有が可能となる利便性の高さ」、「保存データの訂正・削除が難しく、真実性を確保しやすい」、「データバックアップに関するメリット」などが挙げられています。

見えてきた課題

これは中小企業に限りませんが、法対応に予算を割けないパターン。システム導入にかかってくる予算にとどまらない「自社にあったシステム設計に割く人員の不足」や「経理のマンパワー不足」に見られる人的工数の圧倒的な不足が根本原因と見られます。

こうした場合にはExcelマクロにて最低限の操作で決まった形式で保存する仕組みであったりサーバ共有フォルダに担当者が毎回登録して電子データにて送る方式など、既存ツールを用いた代用や担当者の運用手法に頼らざる得ない非効率過ぎる業務がまかり通っているようです。

こうしたことに加え「経営が無関心」、「組織内で電帳法に対応する意思が見られない」、「導入コストに理解が得られない」と言った本来なら指揮すべき経営層の理解不足や対応へ向けた方針の欠如が露呈していることが挙げられています。

利用当事者の声は

たとえば経費精算システム導入後の満足度の調査アンケートでは、全体的に「とても満足」」(5%)と「まあ満足」(59%)を合わせ64%が満足しているとの調査結果が出ています。その一方「不満」と回答した人が挙げた理由として『紙と電子データの二重運用に対する手間』が多く寄せられました。

具体的には「各従業員が(領収書を)電子化、原本と両方提出の必要性に疑問を感じる」や「紙・電子の両方を扱わざるえない二重管理の手間」、「電子データ添付した証憑原本を紙提出する運用の煩わしさ」と言った紙の領収書の収集とダブルチェックに膨大な工数が掛かっていることに不満を抱えているようなのです。

電子化に一本化できない弊害も生じており、「部署ごとに微妙に異なるルール」、「経費の種類により担当部署が異なる場合があり混乱」や「明確なルールが規定されていない」など運用ルールが曖昧なケースでは、現場にしわ寄せがくることで不平を漏らす事が多いようです。

従業員側の要望は

紙と電子データの二重運用を改善してほしいとの声が大勢を占めました。「紙の領収書を電子化しても原本の紙を保存しなければいけない二度手間の不満解消」や「紙出力の無駄な手間が発生しないデジタルネイティブな経費精算システムへの期待」「紙提出の全面廃止」への要望が多いようです。また使い勝手への改善要望では「標準的支払いに対する自動入力機能の追加」や「AI(人工知能)による半自動化」など、利用者や管理者の業務工数の軽減をサポートする機能を望む声が多く集まっていました。

業務へ低負担で導入できるツールや運用コストが安く、中小企業でも使いやすいシステムに対する期待が高まりを見せています。業務の効率化やコストの削減、ひいては生産性の向上を目指すうえで欠かせないのが業務デジタル化、その実現には経営側・従業員側双方の思惑を超え一致団結して臨んでいくことこそが成功のカギとなりそうです。

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