将来的通信インフラ整備の重要性

新型ウイルスによる世界的流行初期は、企業がテレワーク環境の整備に追われ、感染症対策を優先して急きょ全社的テレワークを始めた結果、トラフィックが急増してしまい輻輳(ふくそう)問題が生じて業務効率の低下に苦慮する事例は珍しくありませんでした。こうした問題への対処がいくらか進んだことでテレワークは急速に社会に定着しました。

将来的テレワーク体制の構築を目指す企業では、後回しにされてきた「社内システムの脆弱性」「PC運用管理の煩雑化」「ネットワークインフラの整備・強化」問題に焦点が当たり始めています。テレワークが常態化すると、かつてのように「社内ネットワーク内に全社のPCが接続された」ことを前提とした運用管理の仕組みは通用しません。IT部門はセキュリティ対策やPC運用管理、ITインフラ整備における新たな対策を講じる必要が出てきます。

こうした課題に突き当たった時、テレワークを安全に継続管理するには社内ネットワーク外に存在するPCのセキュリティ対策や運用管理、インフラ整備をどう進めるべきか?
今回はこの話題を取り上げて解説します。

セキュリティの脆弱性をもたらすテレワーク

従業員がオフィス出社するのが当たり前だった頃は、PCは基本的に全て社内ネットワークに接続され、「Windows Update」を使った更新プログラムの適用は自動化されていました。ところがテレワークに移行、PCが社内ネットワークの外に持ち出され始めるとエンドユーザーが自前で手動アップデートをする必要が出てきます。多忙な従業員にはアップデート作業はどうしても優先度が低く、結果的にOSアップデートや各種パッチの適用は後回しにされがちです。

テレワーク環境を狙ったサイバー攻撃が増え続けるなか、セキュリティパッチ適用が進まなければセキュリティリスクや脆弱性は自然と高まるのです。

煩雑化する管理業務

PC調達やキッティング、設定、配布といったIT部門の作業についてもテレワークにより負荷が上がります。テレワーク中であったとしてもIT担当者に限っては、新規調達PCのキッティングや設定作業のために出社せざる得ないと言ったことは珍しいことではありません。

Web会議の利用拡大

Web会議の利用機会もまた急速に拡大しました。90%を超える企業が会議の大半をWeb会議で実施するように変わり、こうした技術は業務に不可欠との認識が当然となりました。利用が増えれば通信品質に対する要求も高まるのは自然のこと。どれくらいの帯域幅(通信路容量)を用意すればいいのか?前提としてビデオ通話の品質(安定性や音質など)と帯域幅の関係が重視されます。

ツールはコーデック(圧縮や復元の処理)技術により、それほど広い帯域幅を使えないエンドユーザーであってもWeb会議を利用できるようにしています。しかしながらビデオ通話を高品質にするに当たっては、それに見合う帯域幅を確保する必要が生じるのです。たとえばツールの一つ「Zoom」ではビデオ通話に推奨される帯域幅を下記のように定義しています。

品質ごとの帯域幅
※「p」(順次走査)「HD」は高解像度マンツーマンのビデオ通話グループ間のビデオ通話
高品質600Kbps上り1.0Mbps、下り600Kbps
720pHD1.2Mbps上り2.6Mbps、下り1.8Mbps
1080pHD上り3.8Mbps、下り3.0Mbps上り3.8Mbps、下り3.0Mbps

将来的展望

光ファイバー等を利用した高速インターネット接続サービスを利用していれば、上記の要件を容易に満たせます。そうは言っても使用可能な帯域幅にとどまらない音声とビデオに影響する他の要因も考慮しなければなりません。今後AIやIotやAR・VR・MRと言った最新技術や大容量データ通信などのサービスがWeb会議と帯域幅を奪い合ったり、干渉を起こす可能性があることを想定したうえでのインフラ整備が検討できるか?経営側の的確な判断が問われるのです。