Wi-Fi「7」対応モジュール搭載PCのご紹介

2月上旬、国内PCメーカーからIntel BE200D2Wモジュールを搭載したノート型PCが発売されました。この製品を『7』ルーターと接続して利用したところ、実効速度において4Gbpsに迫る高速通信が実証されています。これは320MHz幅が有効でないと実現不可能であり、すでにこのPCでは320MHz幅が使える状態となっているものと推定されます。

今回はこの話題を取り上げて解説します。

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Windows11への移行を控えたPC導入や最適なWi-Fi7の利用方法をご検討されている方はお気軽にご相談ください。

PCスペック

CPUは、Intel CoreUltra7 155Hを搭載、無線LANモジュールとして最新技術のKiller Wi-Fi7 BE1750w(Intel BE200D2W)が配備されています。GPUはGeForce RTX4060。「7」については法令により6GHz帯・320MHz幅に対応した国でのみ利用が可能であり、320MHz幅に対応したドライバーの登場が待たれるはずでしたが、既に使えるよう対応され出荷されているようです。

速さの要因分析

要因の比較・分析
以前までWi-Fi7
伝送効率アップ(1.2倍)1024QAM4096QAM
利用可能な帯域幅の拡大(6GHz帯)20/40/80/160MHz20/40/80/160/320(6GHz帯のみ)MHz
複数の周波数帯のおまとめ(MLO)機能不可可能
ストリーム数8ストリーム16ストリーム
最大接続数8台16台
最大速度9.6Gbps46Gbps

高速道路を使った具体例を交えて、解説します。
高速道を用いて移動するケースでは、たとえば「伝送効率」が道路の滑らかさや落下物・デコボコの少なさ、「帯域幅」が通行可能な車両数、「複数の周波数帯のおまとめ」は同時に走行できる道路レーン数をあらわすものと仮定できます。

6/6Eを例にすると160km/hで高速走行できる車両が通行可能ではありますが、2.4GHz、5GHz、6GHzの個別レーンをひとつずつしか使えません。2.4GHzレーンに至っては老朽化によりが速度が50km/h以下に制限されてしまうのです。

ところが『 7』に関しては、6GHz道路の通行車両が最大約380km/hでの超高速走行が可能。またMLO機能を用いて複数レーンを同時に走行。いわばサーキット場と同様の高速性を発揮できるのです。

距離による性能差

近距離であれば4Gbpsに迫る速度が測定されるケースも多い「6GHz(320MHz幅)」ですが、長距離通信速度では現状では、「5」GHzに軍配が上がっています。近距離であっても2Gbpsを越え、2階や3階に電波を飛ばしても速度が落ちにくく、安定的通信維持を実現、電波の届きにくい場所でも400Mbpsを叩き出すためです。

導入メリットの高さ

実効速度で3Gbps以上が期待できる「7」対応ルーターへの投資は早すぎるとは言えません。むしろ10Gbpsの回線を利用しているならば旧世代ルーターでは、回線速度を活用できておらず業務効率化につながりません。

またMLO機能を用いればメッシュ(中継を含む)環境でも絶大な威力を発揮します。メッシュは複数台のアクセスポイントを無線接続、Wi-Fi接続エリアを拡大できるしくみ。メッシュではアクセスポイント同士をつなぐバックホールと呼ばれる基幹部分の通信環境が非常に重要で各フロアや執務室全体の通信が流れ込むこの基幹部分の速度が遅いと電波強度は改善されても、実効速度が遅い現象が時に発生します。

「7」では、メッシュのバックホールにMLOの利用が可能。つまり、アクセスポイント間をつなぐ基幹道路として、2.4/5/6GHzのすべての経路を同時に利用して通信パフォーマンス向上や複数デバイスを同時接続したときの高い安定性が見込めます。メッシュ構成の場合、たとえ手元のパソコンやスマートフォンが旧世代のみであったとしても高いメリットがあるのです。

決して価格は安くありませんが、業務等におけるパフォーマンスを優先するなら抜群の効果をもたらす可能性が高いと推察されます。

今後のデバイス側の「7」対応は

インテルでは、6E登場時にドライバーアップデートにより6GHz対応をユーザーに後から提供した実績があります。このため「7」対応モジュールの内蔵した機種に関しては対応ドライバーが提供され、320MHz幅が現在利用可能になっているものと推察されます。

スマートフォンでは対応した海外モデル(Pixel 8/8Pro)などもございますが、国内向けには6/6E対応としてのみ販売され、現時点(2月下旬)で320MHz幅を利用できるスマートフォンはございません。ただし6Eが国内認可された際もPixel 7/7Proはのちにキャリア提供のファームウェアアップデートにより6GHz対応になった経緯があり、今回も同様の対応が期待できるでしょう。

買い時の見極め

対応ルーターは、単体価格が6万円台のものがほとんど。メッシュ構成を想定すれば最低2台で十数万を超える出費。現在、発売中のモデルは各メーカーが最新技術を投入したハイエンドモデルが主流です。近い将来のリーズナブルな価格帯のエントリーモデル発売が待たれますが、メッシュを組む予定の方向けには最新の「7」がおすすめ。

業務の効率化や生産性の向上につながり、高い満足度をもたらす効果が見込めます。