通信遅延や中断・品質低下を起こす原因のパケットロスを防ぐには

パケットロスとは、ネットワーク通信の途中でデータが欠けてしまう現象、インターネット上におけるデータのやりとりはIP(Internet Protocol)という方式を用いて通信が行われています。IPでは全データを一度にまとめて送信しておらず、データを分割・小分けにして送っており、小分けにしたものを「パケット」と呼んでいるのです。

通信内容を小分け(パケット)にして送信することで複数人が同時に通信を行っても、そのなかのひとりがネットワークを占有して他に迷惑をかけることなく全員の通信が正常に行われる仕組みになっています。最終的に小分け送信データは、受け取り手に以前のまとめられたデータに復元されて渡されます。

小分けした通信内容のパケットが通信先に正常に届かず、一部またはすべてが途中で消滅してしまうことを総称して「パケットロス」と呼んでいます。

「TCP」方式

Webページ閲覧の際など従来使用されているHTTP/1.1やHTTP/2では「TCP」方式を用いて通信が行われており、TCPでは通信信頼性の向上を目的に送信データを受信するたび、データ受信先のホストがデータが到達を知らせる「確認応答(ACK)」を送信元に返却しています。送信元ホストは一定時間内に ACKを受信しない場合、ネットワーク通信上にパケットロスが発生したと判断して再度データを送ります。このデータを再送するしくみが「再送制御」と呼ばれており通信品質を保つうえで欠かせません。

パケットロスが引き起こすのは

一般的に「遅延」「中断」「品質低下」と言われており、発生時にはホストとの間で前述のデータ再送などの現象が頻繫に発生している可能性が高いのです。再送処理が発生すると処理時間分だけデータの到達が遅れます。こうしたケースではネットワーク利用ユーザーには「通信が遅い」と感じられる問題を生み出しています。

一方で応答確認が行われない方式で通信した場合は、そもそもパケットが不達であることを知る由もなくパケットロスが発生すると再送自体行われません。したがってこうしたケースでは、パケットロスが発生すると通信が途切れた(中断した)と見なされます。

また映像や音声データについては、ロス発生により品質低下して見づらく聞きづらくなったり、音声や映像が一部飛んだり乱れが生じる事態を起こす可能性が高いもの。
オンライン型の対戦ゲームなどロスによる操作と画面の動きにタイムラグ(遅延)が生じて勝敗を左右する場合もあり、パケットロス問題はオンラインゲームユーザーに「パケロス」として広く認知されています。

パケットロス発生の原因究明は

原因分析の結果として挙げられるのは「ネットワークが処理可能なパケット量を上回るパケット流入(オーバーフロー)」「ネットワーク機器やケーブルの老朽化」「 通信途中・通信先における問題発生」が主要なものです。

パケットは送信元端末からルーターやスイッチングハブなどの複数のネットワーク機器を経由して通信先の端末に届き、ネットワーク機器側では受け取ったパケットを処理。順番待ちのパケットは、ネットワーク機器のバッファーに貯められ順次処理に進みます。バッファーには機器ごとに容量の上限数があり、バッファーされたパケット数が上限を超えた場合は処理されずに破棄されてしまう仕様。

老朽化したネットワーク機器を使用している場合も処理能力が低くロスが起こりやすい。LANケーブル自体も規格ごとに通信速度と帯域が決まっており、ネットワーク機器・ケーブルいずれかが最新であっても、古い方がボトルネックとなりネットワーク本来の速度が出ず通信がスムーズに行われないことが多いのです。

経年劣化したネットワーク機器を用いファームウェア更新をしていない場合もバグや誤作動が生じてパケット不達となる可能性が高いのです。他にも必要パケットを誤って破棄する誤設定をしていた場合には特定ネットワークだけ通信が到達できないというケースも報告されています。

ロス発生防止には

まずは不要な通信を停止してデータ量を削減すること。たとえば端末上で使用していないが起動しているアプリケーションを特定します。アプリには常にインターネットを介して通信を行う仕様になっているものが多数存在します。

そうしたものは使用せずともバックグラウンド通信を行っている可能性が高く、未使用アプリを終了すればバックグラウンド通信を停止でき、過密となっていた帯域を空けることにもつながります。共通ネットワーク内に複数ユーザーがおり、ネットワークが遅いと感じたら帯域を不要に占有する通信を行っているユーザーや不要な通信を行っているアプリがないか確認、そうしたものを強制的に停止できる仕組みを作りあげられるのがベストです。

また老朽化したネットワークインフラを刷新せず使い続けるのはロス発生を容認するのと同じ。機器のファームウェアを長くアップデートしなければ脆弱性を突くサイバー攻撃を受けるのは時間の問題です。また機器の設定を見直しによるロス発生の回避も選択肢のひとつ。たとえばQoS機能の利用があり、これは通信の内容に優先度を設けるもの。これを用いて優先すべき通信を最優先で処理させ、その他の通信の処理の優先度を下げることも可能なのです。

まとめ

ネットワーク不具合の原因は多岐に渡るものですが、どんな原因でも利用するユーザー側には「つながらない」「遅い」「切れやすい」といった抽象的な現象にしか感じられません。管理者は問題を引き起こす原因を特定して原因がパケットロスであれば、適切な対策を施すステップが必要となってきます。

そうした際にネットワーク状況を可視化するには、『管理ツール』導入がおすすめ。ツールを利用すれば原因調査のため割く時間を相当削減することができるからです。

監視対象の台数が多い場合、全台確認するには非常に手間がかかりますがネットワーク監視ツールを用いればコマンド等の専門知識不要でネットワークの状態を可視化、パケットロスなどネットワークの問題が発生した場合に迅速に検知できるメリットが生じます。たとえばネットワーク内に配置されている機器を一括検出して登録できる機能や機器ごとに適した監視項目やしきい値を自動で適用でき、ネットワークの監視や可視化が効率化できる大きなメリットが生まれます。