「25年の崖」問題を乗り越える知恵
2010年を境に減少を続ける生産人口ですが、25年には約800万人と言われる「団塊の世代」(1947~1949年生まれ)が後期高齢者(75歳以上)となります。国民の5人に1人が後期高齢者という超高齢化社会の到来は社会保障、主に医療・介護、年金などの面で社会に負の影響をもたらしかねないと言われます。なかでも最大の課題が「労働人口」の減少。高齢化社会の進行によりあらゆる産業が人材不足に陥り、従業員の獲得競争の激化は既に地方では始まっています。
25年には経営者が「70歳以上」の中小企業が約245万社にまで増加、その約半数を占める127万社で後継者が決まらない可能性を秘めており、問題を放置すれば約650万人の雇用、約22兆円に及ぶGDP(国内総生産)が失われるとの試算が出ています。
老朽化したシステムからの脱却を目指す
問題解決につながるいとぐちを探るには、現在の業務を見直しながら、いかにして従業員の採用を増やしつつ業務の効率化や安定的運用体制を整えることができるかがポイントになってきます。
ただしその足かせとなってくるのが、使いなれた古い業務体制やシステムを残したままにすることなのは明白です。自社の競争力の優位性を保ち続けるには、新たなデジタルテクノロジーやデータ活用と言ったものが欠かせません。老朽化したシステムを温存し続ければテクノロジーの活用に乗り遅れ競合他社との競争に敗れる必然性が高いとも言えます。長年使用してきたシステムや業務プロセスでは人手による運用の手間がかえって増えており生産性の低下を招いているとの調査結果が数々出ております。
また複雑化・老朽化したシステムの保守運用ができる人材は限られ、人材確保も課題となってきます。結果的に保守運用に多くの資源を費やすことが続けば、業務デジタル化など本来取り組むべき課題・分野がおろそかになるのは本末転倒です。
新たなシステムを導入するうえでの課題
問題点を理解していても検討が進まないことが多々あるのは仕方がないこと。よくある課題としてあげられるのがシステム構成や性質の異なる新・旧システムのコスト単純比較が難しく、移行や運用・保守ライセンスと言った中長期コストまで考慮しての算出は素人では荷が重いというものやシステムの機能や業務プロセス・フローが複雑で現行システムからの移行のハードルが高く知見や経験に乏しいと言ったもの。
またよくありがちなのが現行で問題なく使えており移行の必要性・緊急性がわからない、新たなシステムに慣れるまでの時間や労力をかけたくないと言った抵抗感を持つ勢力の存在です。
課題解決につながるポイントは
まずは新たなシステム導入にかかわる費用(初期導入費+運用費)と老朽化したシステムに現状かかっている費用をITの専門家などに依頼して整理・比較すること。算出には、古いシステムを使い続けた場合に発生する機器の買い替えやライセンスコストも含め洗い出します。
次に必要となるのが優先順位を見極めること。手始めに効率化やデジタル化につながりやすい業務領域を探し出して段階的に着手するアプローチをおすすめします。
最後に社内に新たなシステム移行のメリットに関して事前に説明を行うことが重要です。システム移行に伴い業務にどのようなインパクトがあるのか丁寧に伝え、移行の必要性や理解を促すことは従業員の不安・抵抗感を軽減させる大きな効果をもたらします。