インボイス・電帳法対応によるコスト抑制には
今月始まったインボイス制度、個人事業主にとどまらず会社員や公務員、一般消費者に多少なりとも影響が発生しています。売手が買手に正確な適用税率や消費税額等を伝えるため適格請求書が原則求められ会社員や公務員の場合には、経費精算時にインボイスが必要になる場合が都度生じるからです。
経費精算時の注意点
会社員は、出張費や宿泊費、3万円未満の公共交通機関による移動はインボイスが免除されますが、タクシーによる移動や交際費は原則インボイスが必要です。
インボイスがない場合には出張での必要経費とみなしてインボイス不要とするか、1万円未満の少額はインボイス不要となる特例処理とするかが選べます。ただし会社側がインボイスを必要と判断した場合に備えインボイスの発行ができるタクシー業者や飲食店を利用しなければなりません。
経理業務の煩雑化
インボイスがある領収書やレシートはこれまで通り経費処理できますが、それがない場合にインボイスが不要となる『特例』に当てはまるか個別判断して処理する必要がでてくるからです。
特例に当てはまらないと判断されたものは、支払った消費税のうち80%までしか経費に算入できないルールで別途計算が必要。経理部門ではインボイス制度により1人当たり毎月1~2営業日の業務時間増となる試算が公表されており、負担増が懸念されます。
仕分け作業の増加
インボイスが「ある」OR「ない」領収書を分ける必要性が生じた分、業務は確実に増えます。インボイスがない領収書の中でも、「出張費」ではインボイス免除、「交際費」等は必要と領収書ごとに経費の申請方法を変えなければならない場合も想定されます。
制度対応で増える業務時間をコストとして計算すると月3,000億円を超えるともいわれ、導入により増える税収をたった1ヵ月で上回るとの試算も出ています。
電子帳簿保存法への対応も
来年早々からは電帳法改正の宥恕期間が終了したことを受け正式に義務化されます。電子取引により生じた請求書等の帳票類は要件に則して電子保存しなければ罰則もあり得る事態です。これも従来型の紙請求書等とは別に対処する必要があります。
システム導入による効率化の動き
たとえばAI-OCRで申請内容を自動入力できる経費精算システムであれば複数枚のレシートや領収書を一括で読み取り、数秒でデータ化。改正電子帳簿保存法にも対応しており、スキャナ保存要件を満たしているかも同時にチェックできます。
ほかにも申請から経理処理、申請文書の保管に至るプロセスを電子化、交通費・出張費・交際費などの申請・承認に加え、自動仕訳や振り込みデータ出力機能を備えるシステムやスマホで領収書を撮影して専用ポストに投函するだけで、データ化や保管、廃棄の作業までを一貫して請け負うサービスなど様々な業務効率化システムが登場、法改正によりその都度増える業務負担を軽減に向け、各企業で導入が進んでいます。