労務効率化をもたらした秘訣とは
◆目次
ある会社では事業拡大に伴う業務量の増加やアナログな手続きによる不要な出社・残業などの負担が課題となっていました。そこで同社は2021年人事労務管理システムを導入、「年末調整」をはじめ各種申請業務のペーパーレス化を実現して業務を効率化。
いかにして労務関連業務の効率化につながったのか?秘訣をご紹介します。
根強い紙文化により業務負担が限界に
社内の申請書類は全て紙、手作業による作成や煩雑な承認プロセス、保管場所の確保といった課題があり、申請書の提出や承認作業のために出社せざるを得ない状況。近年の売り上げ拡大に伴い従業員も倍増、アナログでは申請書の処理が追い付いていきません。
事業成長に備えた業務基盤の構築も大きな課題。新たにバックオフィスの基盤を構築してデジタル化やテレワークといった新しい働き方にも柔軟に対応できる人事労務管理システムの導入を検討していました。
担当者は「重視したのは操作性。マニュアルを見ずとも誰でも直観的操作ができることが必要。ペーパーレス化により雇用契約の締結や人事労務の手続きの時間が大幅に削減できるか、機能の汎用性およびニーズに沿った拡張性を備えているかも考慮した」と話しました。
導入運用のポイント
まず既存運用の可視化を行いワークフローの中で紙が使われている業務、システムに移行できる業務を一件ずつ洗い出し、その課題を一覧にまとめ自社内で要件を明確化して不明点や実現可能性について確認しながら進めました。
可能な限り既存の運用をベースに検討するものの業務効率化の観点から変更が必要な運用もあり、それらを含めた検討および対応への負担が大きかったと話します。
年末調整と言った紙で行っていた申請業務を一斉にペーパーレス化すると「閲覧・編集権限をどうするか」「どのようなワークフローを設けるか」など考慮すべきことが膨大にあり時間をかけ検討を行いました。
グループ企業には採用業務などを支店に移管しているケースもあり、本支店間の役割分担を定めたワークフローの整理に苦心したそう。
作業時間は半分以下に
バックオフィス業務効率化プロジェクトで最も効果があったポイントは、申請書類の電子化に伴う労務の工数減少。
導入前と比べると担当者は「年末調整」の作業時間を半分以下に減らすことに成功。慣れればさらに削減できそうと話します。
年末調整業務は以前から多くの課題がありました。従業員に申告書の記入を依頼しても回収が進まず、遠方の支店や事業所に原本を郵送して返送コストもかかるといったもの。従業員からは「書き方が分からない」との声もあり記入ミスも多発していました。
導入後、従業員は画面上の質問に回答するだけで自動で申告書を作成、担当者は従業員の申告情報をリアルタイムに確認、ミスを早期に発見できるように。紙申請書では発生していた担当者の転記ミスもなくなり、業務にゆとりが生まれワークライフバランスアップにつながりました。
会社全体として導入により属人化の解決につながったことも大きな成果。円滑に業務が引き継がれ、人員の見直しやアウトソーシングが可能になり、戦略的人材配置や人材育成にも積極的に取り組める環境が生まれました。