電帳法対応に向けた業務を効率化するアイディア

◆目次

電子帳簿保存法の対応を足掛かりに電子化やペーパーレス化をどのように進めるか、DXを進める上で何を準備すべきかを解説します。

よくある質問ですが、「紙運用を電子化する必要性は?紙ではいけないのか?」という「そもそも論」もたまにお聞きします。例えば受領する紙領収書を原本保存する運用を継続したい場合などがその代表例。

電帳法は原本が紙である文書の電子化は必ずしも必須ではないのですが、今後予測される「紙とデータの二重管理」といった業務負担軽減を考慮すれば少しずつ電子化の取り組みを進めた方が得策です。
業務を改善するうえで「紙とデータ」の二重管理ほど非効率で手間の発生するものはないでしょう、例えば適格請求書(インボイスの記載項目・発行事業者の登録番号等)確認業務を始め手作業で実施することは現実的ではありません。
また紙保存に必要なスペースや管理の手間を考えると、電子化を進めるべきなのは自明の理です。

やはり請求書や領収書の電子化が必須になるのは自然の流れではないでしょうか。

将来を見据えた電帳法対応には何が必要か

しかし「この部分だけ電子化しよう」と限定的仕組みを付け焼刃で導入しても、将来の要件に対応できずにシステム総入れ替えにつながりかねないため、それは避けたいところ。

電子取引情報の紙保存廃止からはじめ、スキャナ保存データや帳簿データなど各種ドキュメントの電子保存に順次対応するというステップが考えられます。

システム選定ポイントとして以下を示します。

1点目は業務システムと柔軟に連携できること。APIやファイル受け渡しなどのインタフェース機能が充実している保管システムであれば、精算や調達・販売管理・生産管理といった業務システムと連携して効率的に進められます。

2点目は電子化を支援するさまざまなITシステムやサービスと連携して機能を追加できること。一つのシステムで全て補うのではなく後から各種ワークフローツールや電子契約サービス、AI-OCR(AIを活用した光学文字認識)、RPA(Robotic Process Automation)など部品的につなげ、今後発生するさまざまな課題や要件に対応できることが望ましいと言えます。

システムをうまく拡張できた好例

業務システムやワークフローツールと連携性が高い保管システムを採用して効率的な保管の仕組みを構築した事例をご紹介します。

第一段階として新たに電子取引情報の保管システムを用意した場合、使い勝手の課題が浮上することがあります。取引先からの受け取り文書内容を業務システムへの入力作業に加え、保管システムに検索用属性情報の登録作業が発生して手間が掛かるといった課題です。

こうした課題の解決にワークフロー機能を持つ会計や受発注などの業務システムとAI-OCR機能を組合せ電子取引情報の電子保存を効率化した事例があります。このAI-OCR部品は日立ソリューションズが提供する「活文 Intelligent Data Extractor」を用いて実現。

受領したPDFファイルからAI-OCRで書面上のデータを抽出、担当者が抽出結果の確認やその他追加情報の入力を行い、確認が完了したら業務システムのワークフロー機能と自動的に連携、ワークフローでの申請内容クロスチェック、承認といった処理内容。最終的に業務システムから保管システムにPDFファイルと検索属性の情報がセットで格納される仕組みです。

上記のように大規模改修せず既存の業務システムと連携して効率的保管が可能であることが立証されています。

さらなるペーパーレス化を進めるには

電帳法対応がペーパーレス化のゴールではありません。めどがついたら、さらに電子化範囲を広げたペーパーレス化を目指せます。
進め方として幾つかのシナリオが考えられますが、国税関係文書の電子化・輸出管理などの国税以外の法定文書・法律上の保存義務のない社内向け帳票や伝票・その他オフィス内の一般書類の電子化へ向けたステップが想起されます。

社内文書がシステムに集約され保管が進めば、業務効率化や内部統制強化などの効果も期待できます。

理想とするアプローチ

例えばペーパーレス化の目的が「既にある紙を電子データへ変換」であれば、紙文書受け渡し業務の延長として紙文書を維持しながら電子データへの変換も実施するアプローチとなります。

「書面形態でのやりとり廃止」ならば、デジタル化を前提とした新しい仕事の進め方や仕組みに移行して紙そのものを廃止するアプローチになります。段階的ペーパーレス化と業務の電子化を進め、業務スタイルを「紙の電子化」から「業務コミュニケーションのデジタル化」へと転換を図るべきです。

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