次世代Wi-Fi8規格
Wi-Fiを始め最新の無線技術に関する仕様は、米国の電気工業学会IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)の標準化組織であるSA(Standards Association)のIEEE 802.11の作業グループにより策定が行われており、新たな規格『802.11bn(Wi-Fi8)』標準化の議論が23年11月から始まっています。
新規格の特長
Wi-Fi7でも利用されている周波数帯(2.4/5/6GHz帯)を用いた通信距離に比例する受信電力でのスループット性能向上、低遅延化、パケットロス率の約3割改善などを含めAPの省電力化やP2P機能強化を目的に開発が進んでいます。
他にも複数AP間の連携の強化や周波数利用率の向上、 低遅延化を目的とした機能がさまざまに検討されており、信頼性や高速性能をさらに高める取り組みの一環と言えそうです。
具体的な拡張機能
Wi-Fi7におけるマルチリンク伝送は単一APの複数の無線LANインタフェース間を連携・協調するにとどまります。
しかしWi-Fi8では複数AP間を連携・協調して各APの送信電力などのパラメータを最適化できる機能の実装が予定され、各AP間の端末同士に干渉が生じぬよう調整する機能、データ送信対象の端末に複数APから送信データを受信させる協調伝送、複数のAP間でのリソース割当てを柔軟に行う機能などさまざま。
信頼性の向上への動き
Wi-Fi8では「通信の高い信頼性」(Ultra High Reliability)に主眼が置かれ、信頼性と効率の向上を高めることが目的となっています。物理層の最大速度(PHYレート)は2880Mbps×8、最大帯域幅は320MHz、変調方式は4096QAMで前規格に劣りません。
また前述の通り、アクセスポイント連携やダイナミックサブチャンネル操作、非プライマリチャネルアクセス、周波数利用効率の向上など豊富な機能が目玉。
新規格に対応する製品の登場は数年先となりますが、進化の動きはとどまることはなさそうです・・・