AI・セキュリティ技術者不足が目前の事態に備えるには
サイバーセキュリティ強化やML(機械学習)、AI(人工知能)の活用が進み続ける昨今、企業のIT戦略の優先すべき課題を考えた際、技術者不足はすぐ目前まで迫っています。
そうした人材が大幅に不足する事態に備え、新たに確保するのではなく社内人材のITスキルアップや育成も視野にいれた取り組みは喫緊の課題。
今回はこの話題を解説します。
現状分析
最近発表された調査報告書で今もっともニーズの高い技術者はAIアナリストおよびビジネスインテリジェンス(BI)開発者、セキュリティエンジニアであることが分かっています。今後もビジネスにとり欠かせない要素となってくるこうした職種の人材をいかにして確保していくかは大きな経営課題の一つ。
たとえば過去10年で機械学習やAIエンジニアリングへの企業ニーズは大きく増加していますが、一方で採用可能な人数や職種は限られ、また採用コストも非常に高額です。さらにこうした分野の技術者やスペシャリストは他のエンジニア職種と比べ5年間あたりの定着率が最も低い水準、よりよい好待遇を求める傾向にあります。
視野
現在のところ、AIの大規模導入や活用のためのリソースを備える企業はごくわずか、仮にそうしたリソースを備えていても効果的にソリューションを展開できる人材やデータ、技術を持つ組織は全体のわずか2%以下と言われています。
ヴァンス副大統領は本年2月、パリにて開催された「Artificial Intelligence Action Summit」においてAIの規制緩和を推進する呼びかけを行い、前政権によるAI開発競争の監視・規制強化の動きは完全に放棄されつつあり、AI活用の多国間競争は激化の道を辿っています。
課題解決には
現在、日本にはITエンジニアが約100万人ほどと言われますが、企業では慢性的とも言える技術者不足、IT部門の所属人材のエンジニア経験が少ないことは決して珍しいことではありません。企業がシステムやアプリの内製化を推進しようにも核となるエンジニアが不足、これからもプロジェクト立ち上げや推進が困難となる事態は頻発していきます。
そこで取り組みとして重要となってくるのが、若手から中堅・ベテランを問わず社員のリスキリングプログラム開発や技術を習得して社内貢献したことによる報酬アップやインセンティブを図る仕組みづくりです。高いエンジニアリングスキルや経験を持つ人材には、それに見合うだけの報酬を提示することは当然のこと、スキルベース評価や成果に応じた報酬体系を構築・整備できなければ今や有望なIT人材は確保出来ないと言っても過言ではありません。
特に経営層のエンジニア育成への意識改革は不可欠と言え、デジタルトランスフォーメーション(DX)やレガシーシステムからの脱却と移行、セキュリティ強化に伴うデジタル人材確保の取り組みは今や待ったなしの状況なのです。