AI等のテクノロジーを用いた不正対策には
たとえば全世界的に問題となっているのがAIを不正使用して生成された商品サービスへのコメントや未使用の消費者が作成した偽レビュー、品質の過剰な誇張など不正なレビュー操作、偽装と知りつつ情報拡散を行うと言った悪質行為。こうした詐欺まがいに手を染める者が後を絶たない状況を受け米国では対策に乗り出し始めています。
背景と課題
Amazonや楽天市場、価格ドットコムなどを始め商品レビューが消費購買において不可欠な情報源として認識され、消費者を欺くフェイクレビューが放置される結果、商品・サービスレビューの信頼性が損なわれ、中長期的には信頼関係を揺るがす状況をもたらすことが判明しています。
購入の意思決定をする際のポイントとして商品レビューが大きな要素となった昨今、フェイクレビューが蔓延すればネットショッピング全体の売り上げ落ち込みを招き、商品購入自体への悪影響を及ぼすことが懸念されてきました。
強まる規制
そうした懸念を受け米国の取引委員会(FTC)は24年にフェイクレビューや虚偽宣伝を取り締まるルールを発表、既に施行されています。
禁止行為とされたのは、以下となります。
① フェイクレビューの作成、購入、拡散
② 製品・サービスを保有する企業関係者や第三者を装ったレビュー作成
③ 「フォロワー」、「いいね」、「ライク(好き)」等のレビューを左右する指標売買
④ ネガティブなレビューの抑え込みとポジティブなレビューの偏重
⑤ 製品・サービスへのあからさまなポジティブレビューを作成した消費者への報酬支払い
経緯
過去には米国で賃貸物件仲介サイトの運営企業が提訴された事例がありました。
背景には偽装レビューに対価を払い、適正家賃の物件を探していた消費者に虚偽情報を拡散しようとした疑いを持たれたことにあります。
訴えられた企業側はユーザーによる商品レビュー作成に関して責任はないと主張、こうした事例を受け法規制の動きが強まったのではないでしょうか。
言わば増え続けるAIなど新技術を悪用したフェイクレビューの大量投稿などの動きを牽制するものです。
将来的展望
こうした規制は日本もまた蚊帳の外ではなく、関係各所における対策を推し進めるべきタイミングです。商品・サービス等のレビューが幅広く影響を及ぼす企業・消費者・当局のそれぞれが透明性をいかに確保させつつ、適切な管理運用体制が整備できるかが問われ始めているのです。