無線LANの通信品質を高める「最適化」を行うには
従来型の旧式無線LAN環境を運用する場合、複数のAP間で使用チャネルが重複してしまうと電波干渉が起きやすく、途切れたり、つながりにくくなったり急激な速度低下を引き起こすことが知られています。
そのためチャネル重複を防止する自動調整機能を持ったAPルーター製品はありますが、調整に時間がかかり、重複排除の制御が難しいなどの課題を抱えており運用面の改善が求められてきました。
チャネルの干渉を防ぐには
一つは無数にあるチャネルの組み合わせから最適なパターンを高速計算して最適化させるやり方。
たとえば2.5GHz帯は電子レンジだったり5GHz帯は気象レーダーも使用されている周波数帯、そのためAPルーター製品には「DFS」(Dynamic Frequency Selection:動作妨害をする可能性のあるレーダー波を検出したら回避できる仕組み)機能の搭載が義務付けられており、こうした機能を用いて気象レーダー波等を検知した際には無線LANの電波発信を60秒間停止させ他のチャネルを検索して切り替えを行っています。旧式のAPやルーターを使っている場合、こうした事態が発生すると通信が不安定になる要因として広く認識されています。
6GHz帯の活用
ところが近年登場したWi-Fi「6E」規格以降で利用可能になった6GHz帯では上記のようなチャネル干渉は起きにくいのです。
チャネル数も倍増しており、安定的通信の実現には最適な手段であることが知られるようになっています。加えて大容量かつ超高速の通信に最適化されており、電波干渉にも強いという最適なパフォーマンスを発揮できる可能性が高いのです。
輻輳(ふくそう:インターネット回線にアクセスが集中すること)状態での動的な周波数切り替えや広帯域化に向けた複数リンクを束ねる「Multi-Link Operation」(MLO)機能を備えたWi-Fi「7」対応製品であればこれまでのようなつながりにくさを感じることなくインターネットを利用できる環境を実現する可能性が高まります。
何よりダウンロード速度が現在より高速化するメリットは計り知れません。セキュリティアップデートやWindows Updateに一回につき数分~十数分を要していたものが、一挙に数十秒で終わらせることが出来たり、スマートフォンやタブレットなどの接続端末や通信量が増えることにより発生していた接続不良や遅延・切断を劇的に減少させ、通信状況を改善できる可能性が高いのです。
活用事例のご紹介
たとえば人手不足が深刻化する建設現場では、Wi-Fi対応クラウド型カメラを用いた業務効率化が進みつつあります。多くのカメラを設置して建設現場全体の状況を可視化、遠隔での監視・管理体制の実現に踏み切る姿勢を示したのです。そこで電源やWi-Fi環境さえあれば専門知識を持たない現場担当者でも容易に設置・運用ができたり、刻一刻と変化する現場状況にも対応できる運用性を追求したのですが、当初は建設現場のカメラ活用には課題が山積みで数百台ものカメラで撮影した画像の確認と現場の可視化は特に難関と言えるものでした。
対応カメラ等はフルHD高画質で夜間撮影にも対応、防塵・防水機能も備え安価で利用できニーズを満たしていましたが、管理コンソールと呼ばれる全体像を俯瞰するための機能部は、数十台、数百台のカメラを設置して現場全体の状況を可視化したいとの目的には不十分で改善の余地が見られたのです。そのため、施工管理業務用にWebアプリを開発、クラウド型カメラとの連携を目指す方針を決定。
現場環境をクラウド型カメラを用いた業務効率化に向け、豊富なカメラ映像から必要なものを探し出す検索機能、管理者や現場作業者など役割に応じ取得可能な情報の制御機能、カメラ映像から音や動きを検知してプッシュ通知させる機能、インシデントの発生要因などの調査用に録画データの長期保存機能などを実装しています。また画像解析にはAIを活用したり、こうした努力の積み重ねがあり人手不足やコスト高騰など諸課題の改善に少しずつつながっていることがデータでも明らかになっています。
「Extremely High Throughput」(EHT:超高速の実効速度)を活用して快適な通信環境を実現したいユーザーにはおすすめです。この機会にぜひ一度ご検討ください。