「S.M.A.R.T.」Self-Monitoring, Analysis, and Reporting Technologyの解説

HDDの異常発生事態ではカチカチと異音がなったりと兆候が分かりやすいのが特徴です。

しかしSSDはHDDと比較して無音状態で動き、データ読み書きなどに不調や故障が発生していたとしてもその兆候を感じられることが少ないのが問題の一つ。
そうした不調時に備えSSDの状態は「S.M.A.R.T.」(Self-Monitoring, Analysis, and Reporting Technology、以下、SMART)情報から把握することができるのです。

監視データが確認可能

HDDやSSD内に組み込まれたいわば監視システムが「SMART」。
内部の特別な領域に監視データを保持しており、コマンドやアプリを用いてそのデータを閲覧できます。たとえば使用してきた経過時間や内部温度、ハードウェアの状態や動作効率など、信頼性に関わる情報を取得して確認できるのです。

HDDでもSMART情報は保持されていますが、SSDのものとは異なることが知られ、内部セクタごとに分かれているHDDに対してSSDはページとブロックごとに分離、SMART情報の中身も若干変わってくるのです。

閲覧できる項目

監視データは1~255までの項目が揃えられ、ベンダーごとに取得している項目は違います。いわばベンダーや製品により取得閲覧できるデータ項目自体も決まっているのです。
またベンダーからはSSDで使用できる独自のSMARTモニタリングツールが作成・配布されています。

たとえば閲覧可能な項目として多いのが、電源が投入されていた時間を記録する「電源投入時間」、電源オフになってから再びオンになった回数を示す「電源サイクル回数」「本体内部の温度」、ブロック当たりの最大消去回数を示す「ウェアレベリング回数」、システムが予期せぬシャットダウンの回数を示す「予期しない電源切断の回数」など。こうしたものはベンダー共通の項目です。

ほかにも「残り寿命」項目などは、プログラム/消去サイクルと利用可能な予備ブロック数の組み合わせをもとに、おおまかに残り寿命を推定できるもの。

リスクマネジメント対策

耐久性が高く、データの連続書き込みが長期間に渡っても壊れにくいのが最近のSSD。たとえばTBW(Total Bytes Written:最大総書き込みバイト数)指標は書き込み可能なデータ上限を示しており、1日10GB程度のデータ書き込みを行なっても数十年の長期使用が可能との耐久試験結果もありますが、実際にはSSDコントローラー問題の有無次第で駆動した経過時間によって4年ほどで使用不可能になるとの真逆の調査結果も出ています。

ベンダーによる品質保証期間が明示されていれば故障発生の心配はないと素人考えでは思われるかも知れません。
しかし万が一の非常事態に備え駆動時間等を定期的にチェック、新しいファームウェアが提供されていないかチェックしておくことはリスクマネジメント対策となりえる重要なタスクなのです。

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