Wi-FiやBluetoothの放つ微弱通信電波を用いて発電できる?!
技術が実現できる未来が見えてきました。Wi-FiやBluetoothなどが放つ微弱な通信用電波から発電できる技術を東北大学等が共同開発したことを世界的科学誌の権威「ネーチャーエレクトロニクス」により7月下旬報じられています。
こうした微弱電波が運ぶエネルギーから効率的発電が実現すれば、電池や電源が不要で永続的に動く電子機器やIoT技術の飛躍的な普及拡大が期待できます。通常、通信用電波の強度は-20dBm以下と極めて弱く、そうした電波強度では電子機器を駆動させるための十分な電力を得られず、電力を生み出す技術としてこれまでは考えられていませんでした。
成果
今回、東北大学電気通信研究所と先端スピントロニクス研究開発センターの共同研究開発により、スピントロニクス技術(物質中の電子が持つ電気的な性質(電荷)と磁気的な性質(スピン)が協調することによって発現する現象を用い、工学的な応用を目指す学問分野)に基づくナノスケールの「スピン整流器」の開発に成功、微弱な通信用電波でも高効率に発電できる原理実証実験において成果を収めています。
今後の展開
これまでWi-FiやBluetoothなどの無線通信における高周波(RF)電波は常時放出されており、スマートフォン等をはじめ機器が利用されていない時間帯は、その電波エネルギーは捨てられるだけでエコロジカルとは言い難いものでした。
この研究が進み実用化されれば、Wi-FiやBluetoothなど私たちが普段の業務で利用している無線通信電波を用い、データの送受信に高周波(RF)の電波を利用した発電が可能となり、端末機器への電源供給や電池寿命・交換と言った手間ひまを削減でき、電力エネルギーの浪費解決、エコノミーにもつながります。近未来のIoT社会において、身の回りの無数のセンサーやプロセッサーなどのエッジ端末を用いた社会活動やインフラ整備(交通、生産、物流、災害対策等)が容易になり、社会の高い効率化がさらに進められるのです。
研究チームでは単体素子レベルでの更なる変換効率の向上、オンチップアンテナとの集積化、素子の直列・並列接続の併用による高出力化に取り組むことを計画。こうした技術の社会的実装に向け、より一層具体的な形での展開が期待されています。