持続可能なITインフラ整備を考える

SDGs時代に持続可能性(サステナビリティ)は、経営陣が率先して協議すべき重要なテーマの一つ。これまで製品やサービスのイノベーションの促進、販路開拓の迅速化、事業活動のモダナイゼーションを目的にITインフラ拡大に猛進してきました。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻以降のエネルギーコストの高騰に悩む企業は、より省電力かつ効率的なITインフラへの投資を模索し始めています。温暖化対策への取り組みを始めとする社会・道義的責任を求める政府や社会の要請からITインフラへの設備投資には、持続可能性への配慮が求められる時代がやってきたのです。

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これまで

たとえば「データストレージ」への投資では、これまでセキュリティ、性能、拡張性、可用性、管理面のみが重視されてきました。ワークロードごとに要件が大きく変わる「コンピュート(演算処理)」とは異なり、ストレージは基盤インフラとして全社からのデータアクセスニーズに対応しなければなりません。

国内外の企業の多くがデジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に進め、ストレージ要件は変化を遂げつつあります。
企業のデータ増加率は年約30~40%が平均と言われており、大手企業では「ペタバイトクラス」のデータセットの管理もめずらしいことではありません。こうしたストレージインフラは、より効率的かつ規模拡大に対して一貫して安定的性能を求められます。

事業における意思決定でITインフラの重要性が増したため可用性要件はこうしたインフラ管理の難しさを露呈しています。マルチペタバイトクラスで運用されるデータセンターの電力供給は、これまで以上に綿密なセキュリティ対策から運用設計まで事前計画が周到に準備される必要性が出てきたのです。

将来的ストレージ

調査では米国のIT企業の4社に1社が、電力不足やスペースの制約によりシステム構築に遅れが生じたことがあると回答しています。電力コストはこれまでIT予算ではなく設備管理予算から支払われ、ITインフラ整備における政策決定者(ITDM:IT Decision Makers)は「電力効率」をこれまで購入のための要件リストに入れないことが恒常化していましたが、電力不足からプロジェクト遅延が発生する場合にはIT部門の責任と言えます。

ITインフラが拡大すればするほどデータセンターが電力不足に陥るリスクやジレンマを抱える場合、性能と容量の要件を満たすシステムを構築できるかは問題ではありません。問題はシステム自体を利用可能な電力の範囲内で構築できるかなのです。

たとえば今後、大規模なオンプレITインフラを備えた企業に必要な要件として電力効率の観点は企業におけるITインフラ購入の判断基準として大きな位置を占めることが考えられます。
ストレージインフラの効率化に取り組む企業の多くは、ワークロードをすでにSSDなどフラッシュ基盤に移行し始めています。大規模な電力効率化を実現する次のソリューションでは、高効率な垂直統合型ストレージソリューションの提供が可能で持続可能性に最大限配慮するベンダーが選ばれることは間違いありません。

ESG保護の重要性

ESG(Environmental,Social, and Governance:環境、社会、ガバナンス)への取り組みはさまざまなステークホルダーからの関心を集め、地球環境を維持存続させうる手段や対策を講じなければならないという政府や国際機関からの強い切迫感から生まれています。企業はまず持続可能性を競争上の差別化策と捉えましたが、コストや風評リスク要因としても捉え始め、行動しなければならないプレッシャーに応えることができるか問われています。

また戦略的意思決定プロセスに持続可能性の観点を取り入れ、事業・財務パフォーマンス強化への動きが活発化しています。持続可能性が組織のビジネス戦略に不可欠な要素になるにつれ、企業価値に最も大きな影響を与えることは明白です。こうした考えを調達を含む全ての事業部門に取り入れ、今や多くの企業が環境を重視、官民両セクターのステークホルダーの基準を満たす機器購入を進めるための優先順位や基準を策定して購入・事業部門やIT部門が取り組みを始めているのです。

電力消費の効率化には

各国におけるデータセンターの稼働状況の調査研究結果が近年発表され、データセンターが世界の電力および水資源の浪費をもたらす要因の一つであることが証明されています。企業の責務として電力消費の削減と水資源等活用の効率性アップを念頭にした取り組みの必要性が避けられないのは当然のこと。

企業がDXへの取り組みを加速させるにつれ、ITインフラの効率化と事業における炭素使用量は詳しく監視されるべき指標となりました。米国における企業活動ではエネルギー使用量のかなりの割合をデータセンターが占めており、20年には約730億kWhの電力を消費。また水資源では6,600億ℓの水資源を消費。これは発電と冷却のカテゴリーごとのものであり、発電時の水使用量は、オンサイトで冷却に使用される量の4倍と言われます。

こうした状況を踏まえればデータセンターの電力消費量のコントロールは企業にとって重大な責務。プロジェクトが何らかの原因で停滞したり頓挫すれば、ITインフラ機器の電力効率は下がります。このためストレージ購入要件リストには電力効率の優先度を高める工夫が必須です。効率を犠牲にせずとも規模拡大がやりやすいインフラをいかに構築すべきか?アプローチの再考が求められているのです。