マイナカードがiPhoneでも使える?!
デジタル担当大臣は過日、首相と米アップル社CEOのティム・クック氏とのビデオ会談に同席。
席上iPhoneへの『マイナンバーカード』機能の搭載に向け、緊密に連携することを確認。具体的スケジュールとして「確定申告の時期には間に合わないが、来春ということでしっかりやっていく」と述べられたことが報じられています。
将来像
iPhoneへの搭載についてはAndroidフォンではすでに実現している電子証明書やマイナカード券面記載事項も搭載する方向で調整中。たとえば「保有する国家資格証明書などスマートフォン上に表示可能」との発言が出ています。スマートフォン搭載の保険証の開始時期に関しても来春以降、すみやかに一部医療機関にて先行開始が予告されています。
機能の拡充
現在マイナカード券面には「氏名」「住所」「生年月日」「性別」「マイナンバー」「顔写真」が記載され、こうした属性情報をスマートフォンにおいても搭載すべく、改正法案が参議院にて審議中であり、改正法案が可決成立すればユーザー了承のもとで自己証明する際、民間サービスの本人確認など「スマホマイナカード」として使えるようになり、利便性は格段に上がります。
またたとえば「Apple Wallet」サービスではクレジット、交通系カード等と連携した決済が可能となっていますが、今回これに加え公的身分証明書機能が追加されることになり、これは米国以外では日本だけ。電子証明書や属性証明機能(券面記載事項の表示)によるサポートが受けられる可能性が高まっています。またデジタル庁からはiPhoneのマイナンバーカード機能については1人あたり1台限定とする方針が示されています。
課題への対処は
たとえば問題となった偽造マイナカードを用いた不正使用などの悪用ケース。地方議員の携帯電話が勝手に機種変更(SIMカードの再発行)され、電子決済で多額を使い込まれる事件は記憶に新しいものです。このため不正を防ぐには、カードに内蔵されたICチップから券面情報を読み出す確認作業が欠かせません。正式なマイナカードでは、顔写真を含む券面記載情報がデータとして保存され、情報は所定の方法で読み出せるのです。
iPhoneに格納されるマイナカードに関しては、データ読み出し時における「Face ID」「Touch ID」を用いた生体認証が必須、暗証番号の盗難の恐れは限りなく低いものと言えます。たとえば紛失したマイナカードを悪用して写真を差し替えられるリスクもiPhoneなら生体認証を突破できない限り、不正使用は不可能です。
そればかりかiPhoneのGPS「探す」機能を用いて紛失や盗難時にも捜索できるメリットもあります。また個人情報が悪用されないよう遠隔操作で初期化(リモートワイプ)も可能です。
他にもある高いメリット
たとえば今冬の能登半島地震では、持病のある被災者がマイナ保険証を使い、通常であれば薬局や院内から探さないと見つからない過去に処方された薬歴をシステムから確認、スムーズに薬を処方してもらえた実績があります。近い将来、医療従事者の不足から医療機関同士のシステム連携が欠かせなくなる事態が予測されており、カルテや特定健康診断情報を共有しやすいマイナ保険証を介した仕組みは時代の要請とも言えるのです。
デジタル化社会の実現へ求められるもの
スマートフォンへのマイナカード搭載によりマイナポータルを始め多彩なサービスへ活用され始めています。たとえば、マイナポータル経由で診療情報がダウンロードできたり、個人情報そのものをスマートフォンに次第に蓄積されていく未来は避けようがありません。そうしたなかiPhoneもAndroidもセキュリティ強化の取り組みを続けていますが、完全なる安全性を担保できるかと言えば難しいのが現実。
詐欺といった犯罪の手口からいかに利用者を守り、マイナカードを始めとするデジタル活用をすすめて利便性を向上できるか?政府が模索している道筋は厳しいものになると言わざるを得ません。
やはり納税者である我々国民側もマイナンバーやマイナンバーカードの仕組みにしっかりと興味・関心を持ち、政府の取り組みに対して監視を強め、いかにしてよりよく使いやすい方向に導くことができるかを考え実践できているのかも問われてきます。
政府への批判だけにとどまらない姿勢を保ちつつ、デジタル社会の到来に向け我々自身の取り組みもまた必要ではないでしょうか。