WindowsOSの近未来

開発コード名「Hudson Valley」いわゆるWindows『12』に最も近いと言われるOSの登場が本年後半と言われており、その全貌が少しずつ明らかになりつつあります。
今回はこの話題を少し取り上げて解説します。

OSバージョン番号の変遷

現状のOS11には「22H2」「23H2」というOSバージョン番号が割り当てられ、これは「Sun Valley」と呼称されている開発コード上のバージョン番号なのです。

現在開発中である最新のOSバージョン番号「24H2」には「Hudson Valley」という新たな開発コード名が割り当てられ、以前のバージョンとの差別化が図られています。次回バージョンアップでは、「大型アップデート」となる可能性が高いことを示唆するものです。

このバージョンアップでは「OSコア」と呼ばれるプログラムの動作環境を提供しているソフトウェアの『世代交代』も想定されています。実はWindowsOS開発サイクルにおいては前述のバージョン表記とは別に元素記号を付与したOSコアの世代管理が行われてきました。「Iron」や「Cobalt」と言われる名称が著名ですが、現在OS11向けにリリースされているOSバージョンは23H2まで含め全て「Nickel(ニッケル)」の名称が付与されていました。本年リリース予定のOS11向けのアップデートでは「Germanium(ゲルマニウム)」の名称が付与されたOSコアとなり、世代交代が徐々に進んでいます。

アップデート周期の回帰

予想される将来的なWindowsアップデート周期が「OS10」の時代に『回帰』するとも言われています。現在主流となりつつあるOS11世代では大型アップデートという概念が実質的に消滅、「Moment」と呼ばれ、だいたい年4回のアップデート周期の中で追加機能やUIのマイナーチェンジなどをバラバラのタイミングで提供しながら年間目標の機能強化をもたらす方式が採用されてきました。年に一回のみの大型アップデートより、準備ができた段階で五月雨式に機能追加で変化を実感させる目的だったと思われます。

しかし、そうした年4回のアップデート周期ではユーザー側の利便性アップにつながらず、実質的に「OS10」時代の「WaaS(Windows as a Service)」スタイルへの回帰が模索中と報じられています。このような背景もありマーケティング的な名称変更は今後少なくなると予測され「Windows12」の呼称は登場しないかもしれないと報じられています。

新OSの機能強化の方向性

WindowsのUIはよりAI機能の強化に近付けたものになることは明らかです。具体的には「Copilot」とのさらなる統合強化策。Microsoftの基本方針として「AIによるUIの統合」を進める戦略を明確に示しているのです。

Windows95登場から35年あまりが経過しておりますが、基本的UI自体は変わっておらず、PC・スマートフォンいずれにせよ異なる入力方法での操作に大きな違いはありません。これが『Copilot』を用いれば「シェル/検索窓/ブラウザ」といったインタフェースごとに存在する垣根を取り払い、自然言語(プロンプト)を活用してより高いレベルでの操作が可能になることが期待できます。

つまり、UIの進化に向けCopilotを使ったWindowsを含む周辺機能の統合を進める意向を示しているのです。AIがあくまで「作業補助」のプレイヤーだった役割を越えブレイクスルーとなることで、よりユーザーへ寄り添ったサービスの提供が可能になる未来像を見据えています。

AI時代のPCモデル

たとえば「Copilot」サービスで提供されているAzure上で動作する大規模言語モデル(LLM)をベースにした「検索」を始めとしたWebサービスにとどまらず、次世代Windowsにおける『ローカルデバイス』いわゆるPC上においては直接実行されるAIの学習済みモデルの種類の増加が予想され、結果としてPCそのもののAIに対する実効性能が求められる時代が到来しつつあります。

現状ではAIに最適化されたプロセッサを搭載したPCはまだメインストリームの普及ラインに到来しておらず、次期Windowsの機能をアピールする差別化要因の1つにとどまっています。次世代Windows12においては、従来のOS11アップデートや「Moment」とは異なり、OSコアの『世代交代』が一気に飛んで内部変更も多岐にわたるのはあきらか。

ユーザーインタフェースでは、Copilotの機能がよりWindowsシェルに統合されMicrosoftがGUIに大きく舵を切った38年以上前の時代以来の変革と言われています。Windows MLとして細々と実装が進んできた学習済みモデルの実行環境において、Windows標準アプリからサードパーティーアプリに至るさまざまな動作にフックする機能拡張が行えます。たとえば動画などの自動アップスケーリングやライブキャプショニングなど、PC単体の機能のみであっても最小限の負荷で拡張機能が利用できるようになるのです。

迫られる対応

OS10サポートは2025年10月14日をもっての終了が既にアナウンスされています。ただしMicrosoftからは一般ユーザーも含めた「ESU(Extended Security Updates)」の提供が発表されており、移行時に混乱をきたす可能性がかなり高いことが報告されています。「OSサポート終了時に2億4000万台の廃棄PCが出る可能性がある」とのレポートも発表され、TPM対応やプロセッサ世代による区分けで『旧』世代PCをアップデート対象から「門前払い」したことでハードウェアのモダン化を進めざる得ない状況を作り、ユーザーにPC資産のはかなさを示す結果にもつながりました。

次世代OSが登場する近未来においてAI機能の搭載が必須要件となってくればPC等のハードウェアもまたさらに高性能化せざるを得ず、大型アップデートのタイミングでどれだけのPCが切り捨てられるのか危惧の念も高まります。そうした不確実性が増すなか、業務環境に最適化され効率化やDX化の実現に向けたPCなどを含めた一連のITインフラ整備の重要性が益々課題となってきます。そうした課題にいかに柔軟に対処できるか経営側のセンスや判断が問われるのです。