壊れやすく故障に弱い「HDD」を適切に使い続ける知恵
内部構造としてスピンドル(円盤を回転させる軸)やプラッタ(データを記録する円盤)、磁気ヘッド(データ読み書きを担う)を始め多彩な可動部品を持つHDD製品。
精密に設計されているが故に物理的な故障を生じやすいものです。そもそも衝撃による振動や温度変化、電気的ショックや水没などに非常に敏感かつ脆いのがこの製品の特徴。
要因分析
製品を使い続ける場合、故障した場合の対策を用意しておくことも重要ですが、故障を抑止する対策も考慮しておくべき。
たとえば製品寿命ギリギリまで使い倒すのは、突然の故障が発生するリスクが高まり、データごと吹き飛ばしかねない危険極まりない行為と言えます。ある程度の利用年数(目安5年)が経過すれば計画的に新たなものに代替することが業務や経営的観点からも実は必須なのです。要は製品寿命を踏まえてきちんと管理がなされていること。壊れる寸前まで使うなどもっての外です。
ここで故障が生じやすい要因をご参考までに下表にまとめてみました。
外部環境 | 異常な高温環境下での放置、洪水災害などによる水没、地震などによる落下や倒伏による衝撃・振動、雷などによる高電圧・高電流、不衛生な埃や汚れ |
ハードウェア等 | ストレージ装置内部の先天、後天的異常(スピンドルやプラッタ、磁気ヘッド等の異常や損傷) |
ソフトウェアや内臓データ等 | 内包する機能やプログラミングコードなど論理的な不具合 |
ファームウェア等 | ドライブ管理用ファームウェアの欠陥 |
利用方法 | 容量一杯ギリギリまでデータを詰め込むなど誤った使い方 |
その他 | 製品寿命を超過した利用による不具合や異常 |
適正な運用には
たとえば物理的衝撃が加わればスピンドルやプラッタ、磁気ヘッドなど内部コンポーネントに多大な損害が発生しかねない事態を招きます。また高温など激しい環境変化にも脆弱です。これにより冷却用ファンの故障や基板回路の劣化といった機器本体へ強いストレスを与えるのです。物理的に損傷したHDDでは、本体が熱くなり、カチカチという異音が発生したりとオーバーヒートしてしまう傾向にあります。
こうした事態に備えるにはどのような対策が必要となってくるのでしょうか?
まずは物理的な扱い方に細心の注意を払い、取り扱いマニュアル等を整備すること。
また環境要因などの外部リスクには、非常事態に備えたガイドラインや対応マニュアル・実施体制を策定して実行すべきでしょう。たとえばサーバ室の室温調整には適正な温度や湿度を維持するための管理が欠かせません、また冬場の静電気をとり除く装置を導入するといったことは、その初歩であると言えます。
ですが実際問題、設置場所を清潔にさせ、埃が入りこまないよう換気を怠らないようにしている企業や組織はほんの一握り。電源やケーブル、無停電電源装置(UPS)も含めて正常に動作させるには実は並々ならぬ管理運用体制の整備が必要となってくるのです。