Wi-Fiを狙って通信遮断させるジャマー(通信妨害抑制装置)の新たな脅威

携帯やWi-Fiなどの電波を遮断して、一時的に使えなくさせるジャミング装置が「電波ジャマー」と呼ばれる機器。こうした電波探知妨害装置はウクライナ侵攻におけるドローン攻撃からの防御にも使われており、「ジャミング(Jamming)=妨害電波」によって通信を遮断させ、機器そのものを使えなくさせるのが目的。

この装置を違法に悪用してセキュリティカメラを無効化、荒稼ぎする海外の窃盗団の手口が海外では問題となっており、近い将来日本にも同じような手口での犯罪行為が多発するリスクがあるのです。

手口

Wi-Fi通信を妨害させる「Wi-Fiジャマー」装置を悪用、設置されたWi-Fi接続のセキュリティカメラや盗難警報装置を無効化、その間隙を縫って住宅に侵入、金品を強奪する手口。アメリカでは厳重に警戒するよう警察から注意が呼びかけられ、問題の深刻さが伺えます。

許可されたジャマーも

実は現在、映画館や劇場、ホールなど許可を受けた施設では観客の携帯電話使用やWi-Fi通信の抑止を目的に無線局の免許を得て電波ジャマーを設置していることがあります。なかでも犯罪行為に用いられやすいのが狙ったルーターだけをジャミングで切断できる「Wi-Fiジャマー」なのです。

Wi-Fiジャマーは、Wi-Fi通信だけを狙い通信遮断させるジャマー(通信抑止装置)。ジャマーは「ジャミング(Jamming)=妨害電波」を飛ばす装置の総称。ジャマーやジャミングの由来である「Jam」は、交通渋滞(Traffic Jam)における混雑という意味。Wi-Fi電波を混雑させ通信を攪(かく)乱、最終的に遮断させるのです。

攻撃方法

海外や日本でも適法な製品自体は販売されており、製品の見た目もよくあるモバイルWi-Fiルーターと一緒のものが多い傾向です。実はWi-Fiジャマー自体がアクセスポイントとなっており、スマホやPCと接続させ使います。スキャンすると表示される範囲内のアクセスポイント(Access Points)や各アクセスポイントに接続されているデバイス(Stations)のリストからジャミングにより切断させたい対象機器を選んで実行するのです。有効範囲内のアクセスポイントを無効化、アクセスポイントに接続された特定のデバイスの通信をジャミングで遮断させることが可能です。

セキュリティー上の脅威の高まり

もし犯罪グループがセキュリティーカメラを無効化、通報や警報を遅らせる手口で犯罪行為をやすやすとやってのければセキュリティ上のリスクを高めかねません。そうしたなか将来的に防犯用セキュリティーカメラに関しては有線接続にすべきなどの対策がとられる可能性もあります。

日本でも三菱電機により実用化された電波探知妨害装置では、監視対象エリア内に侵入してきたドローンとその操作機(プロポ)間の通信を遠距離から探知、制御信号に対して同じ周波数の妨害波を出して干渉、通信を妨げる方式。制御信号を受信できなくなったドローンは一般に緊急着陸をするか、自律的に出発地点に帰還していきます。

しかし、最近報道され問題となった横須賀の海上自衛隊艦艇を周辺上空から無許可撮影したドローンについては、こうした装置が活用されていたか不明ですが、無許可撮影を結果的に防げず国防への不信感が高まりかねない事態を招いてしまったのです。