プロンプト作成のコツ
たとえば出力回答を目的にかなう形に持っていくには「プロンプト内容に創意工夫をこらす」ことが必要ですが、指示入力時に長くなりがちなプロンプトを細かく整える手間暇は負担に感じる方がほとんど。同じような条件の指示を繰り返すケースでは「カスタム指示」機能を活用して手間ひまを減らすことも可能です。
プロンプトの果たす役割
生成AIとの対話にはプロンプトを用いたユーザーから生成AIへの指示や質問を行い、生成AIから対話者へ順次回答される手順で行われます。普段の知人友人との日常会話と同様でやりとりは一度とは限らず、生成AIからの回答を受け、それに対する会話をコンスタントに続けるパターンが多いのも特徴。
生成AIの知識やスキルを上手に引き出すにはある程度のコツが必要です、そのためにはまず生成AIへの指示出しや質問をする際のプロンプト構造を事前に押さえること。会話をかわしたり文書を作る際にも必要要件と十分要件を備えた内容を検討して考案しますが、それと同様です。
たとえば商品や企業紹介のアピールの場では、まずネーミングやコンセプト、味や価格、性能やビジュアル等を強調します。逆に場合によりけりではありますが、それ以外の生産・販売や流通・管理といった十分要件はアピールしないのが一般的。そうした観点を加味したプロンプト作成が求められるのです。
作成のヒント
プロンプトから質問や指示を出す際に必要要件となるのが「このセンテンスを編集して」や「サッカーや野球など特定のスポーツがうまくなる方法を教えて」と言った具体的指示や質問の中身。「状況・様式・例示・入力値」などの十分要件は後回しにしても大丈夫です。
たとえば回答例を示す場合など状況や指示・質問内容の具体的中身、様式を指定する際はプロンプト末尾に記載するのがベターです。末尾への記載事項が、より生成AIの回答に影響する傾向にあるからです。プロンプトに入力値を記載するケースでも末尾の方が望ましいと言えます。
カスタマイズ
またカスタム指示の実行には、ChatGPT画面のアカウント名をクリック。英語メニューが表示され、「Custom instructions」を選択。注意事項を読み「OK」をクリックするとカスタム指示の設定画面が表示されます。そこから使用目的に応じた条件に整えます。プロンプトへの書き込みを最小限にとどめるには箇条書きに条件を入力していきます。
カスタム指示の設定画面の上段には、ユーザー属性のうち仕事や興味、利用目的を入力します。下段には、出力の形式についての指示を指定して入力。たとえば下段ブロックには「端的かつビジネス利用を想定した表現での回答」や「冗長にならない」と言った条件を入力。指定した入力条件に合致した指示や質問をすれば、条件を反映した回答が得られます。カスタム指示が不要なケースでは、指示を一時オフにして出力の傾向を柔軟に調整することも可能。カスタム指示内容を毎回削除せず運用できます。
出力量の調整
他にも「パラメータ」と呼ばれる変数を調整しながら回答の傾向をコントロールする使い方があります。パラメータとは大規模言語モデルにおいては、出力の方向性を補助的に決める数値。生成AIは、大量のパラメータにより制御されているのです。
まず出力されるテキストの長さを調整するものとして「max_length」「max_tokens」などのパラメータが代表例。たとえばプロンプトに「max_length=100」「max_tokens=300」と言った指示内容を入力すると、実際には英単語のスペル数にひもづくため厳密に文字数をコントロールできるものではなく、目的の長さに近づけるには何度か微調整が必要。そのためパラメータを調整して、おおむねの文字数を伸び縮みさせ出力させる使い方ができそうです。他にも「Temperature」「Top_p」と言ったパラメータでは、一般的には「0~1」の値を設定、値が小さくなれば、後続する単語として堅実なテキストが出力され、値が大きくなれば創造的でランダムな出力が期待できます。これ以外にも使えるパラメータは無数にあります。
機能の拡張方法
さらに便利に使うため「プラグイン」と呼ばれる機能拡張を利用する手段もあります。プラグイン導入には有料プランへのアップグレードが必要で検討の余地はありますが、たとえば有料プランのChatGPT Plusを契約した場合に導入には設定変更が必要。そのため表示されているアカウント名をクリックして「Settings & Beta」を選択。さらに表示されるメニューから「Beta features」を選んだら、「Plugins」のスイッチボタンをオンに切り替えます。
次にプラグインストアから必要なプラグインをインストールする手順ですが、画面に表示されたプルダウンメニューから「Plugins」を選択すると「No plugins installed」から「Plugin Store」へ。注意事項が表示されたら確認して「OK」。Plugin Store画面が開きます。プラグインをインストールには検索欄にプラグイン名を入力、表示される「Install」ボタンをクリックします。用途に合ったプラグイン導入がおすすめです。
有効なプロンプト作成へのアプローチ
現在メジャーな四つのプロンプティングアプローチをお示しします。
「Zero-Shot」これは前提条件を指定せず、唐突に指示や質問を提示する手法。単純な回答を予期するなら問題ありませんが、複雑で繊細な出力を予期するには適さないアプローチです。
「Few-Shot」先に出力例を提示しておき、指示に対する出力を絞り込んでいくアプローチ。プロンプトの入力の手間はかかりますが、予期する出力に近づけやすい手法です。
「Chain-of-Thought」先例の提示をさらに発展させたアプローチ。より複雑な出力を予期するには、期待する出力にたどり着くまで必要な「途中の推論過程」も例として提示します。
「Generate Knowledge Prompting」 プロンプトの一部に関連情報を記載しておくアプローチ。「質問」への補足のため、「知識」を書き記して出力の精度を高める手法です。
自分にとって入力しやすいアプローチは何か事前に検討しておくことが重要です。上述の4つの基本を業務に生かすには指示や質問方法だけでなく「役割」「目的」「条件」「出力例」「補足情報」などを詳細に指定する使い方を検討すれば、さらにAIを効率良く操作運用できさらに業務に生かせるはずです。