OS移行を控えたデバイスの導入には

来年のOS移行を控え業務用PCなどデバイス選定における要件や要素とは何か。今回はこの話題を取り上げ解説します。

選定に必要な視点

何らかのトラブル発生時にも余裕を持って対処できるか?トラブル発生要因になりそうな芽を摘んでおくことも重要な視点です。

移行前の把握すべきポイント

WindowsやMacでは、OSのメジャーやマイナーと言ったバージョンアップに相当の時間がかかるデバイスが複数存在する場合には事前準備期間が必要です。対応するまでユーザーにアップデートを禁止しておく必要があります。

また従業員の方々の端末操作やOSへの慣れ具合はどの程度のものかをある程度把握しておかないと、移行後にご高齢の方は特に慣れるまで相当の手間ひまが見込まれます。

端末機器のスペック

新型ウィルスが蔓延した数年前から会議など含めオンラインツールの使用が要求されるようになりましたが、その際PCスペックが問題になったことを覚えている方も多いと思われます。「Microsoft Teams」などを始めとした一部オンライン会議ツールはCPU消費が激しく、性能過少なPCであれば他のアプリケーションが起動・動作しなかったり、「Amazon Chime」なども同様の現象が発生していました。

WindowsマシンはCPUがOS11に対応しているかも含め、OS利用の将来的動向を踏まえ慎重に選定すべきです。

製品の選定には

特に新製品の導入では予期せぬバグが発生するリスクを伴います。たとえばMac製品では「M1」や「M2」などのCPUの登場初期には動作しないアプリが多く見られました。またウィルス蔓延期の半導体不足とテレワークによるPCの急激な需要拡大から納期が大幅に遅れたことは記憶に新しいものですが、納期を優先して入手可能な製品をバラバラと個別に導入すれば、その後のメンテナンスコストは上がり続けることが容易に想定できます。計画性やある程度の統一性を持って発注、予期せぬ遅延にも柔軟に備えるべきなのは論を俟ちません。

望ましい入れ替え期間

ノートPCは特にバッテリー劣化や持ち運びによるダメージの発生などを考慮すれば、できる限り短い期間で入れ替えることが望ましいのですが、本来ハードウェアの限界やOSのEOL(End Of Life)を考慮しても最大5~6年使えれば御の字なのです。それ以上、使い続けることはいつ壊れてもおかしくないリスクを抱えることになり、業務上もおすすめしません。

リースではなく購入している企業では従業員の入社や退職、非正規社員の入退場に合わせ耐用年数を超えても使い回しているところがあるようお聞きしています。それでは管理上も望ましいとは言えません。

あるべき理想は

購入の場合は特にですが、予期せず長期でPCを使い続ける方が多い傾向にあります。仮に従業員に貸与されるPCが極端に古かったり、メモリやストレージが不足したりしていたら従業員側からすれば「もっとスペックが良く豊富な機能があればテクノロジーをもっと活用できるし、作業効率もあがるのに・・・・・」と考えモチベーションも上がらないのは当然です。

経営側や管理層が「自分たちが若いころは低スペックでも十分に仕事ができていたから大丈夫だろう」と短絡的に考え、高スペックのPCを求める声を無視し続ければ『業務効率化や生産性向上』につながる動きは自然に雲散霧消するであろうことは予見できます。

本当にやるべきなのはIT基盤整備やDX推進に向けリテラシーレベルが違う各世代・各層であっても相互に理解を進め、一丸となって業務効率化や生産性の向上に取り組もうとする意識改革ではないのか?と感じざる得ません。