【12月廃止】健康保険証廃止に伴う動きは
本年12月までにマイナンバーカードと健康保険証をひもづけた「マイナ保険証」への一本化に伴い、政府は従来の健康保険証の廃止を決定しました。マイナ保険証を持っていない人はどうすべきでしょうか。今回はこの話題を取り上げて解説します。
医療機関における利用向上の動き
昨年10月時点における厚生労働省の調査結果ですが、マイナ保険証による利用が約780万件、保険証利用が約1億6550万件となっています。確かにマイナ保険証の利用件数は上昇傾向にあるものの利用率としては約4.5%にとどまっており、全体的には微増傾向ではあります。こうしたなか岸田内閣は、紙等の保険証の新規発行を本年12月をもって廃止することを正式に閣議決定しました。
健康保険証の代わり「資格確認書」の発行措置
マイナンバーカードを持っていない方や保険証とひもづけしていない方には「資格確認書」が発行され、申請をせずとも該当者には無料で交付予定となっています。
「会社員」や「自営業者」「後期高齢者」といった区分により発行元が異なり、従来の健康保険証は猶予期間として『最長1年間』は使用できますが、転職して加入保険が変わる場合や75歳に到達して後期高齢者医療保険に切り変わる場合には猶予期間が消滅する可能性があるため十分にご注意ください。
区分 | 発行元 | 有効期限 |
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会社員 | 勤務先の健康保険組合 | 最長5年 |
自営業者・フリーランス | 市区町村の国民健康保険 | 1~2年 |
75歳以上の後期高齢者 | 後期高齢者医療広域連合 | 1~2年 |
資格確認書のデメリット
マイナ保険証を持たず、「資格確認書」の利用では窓口における負担が高くなることが明らかになっています。下表をご参照ください。
利用しない場合には医療費に上乗せされる「診療報酬の加算」が増えるデメリットがあり、政府は診療報酬に差をつけ利用促進を図っています。ところがトラブルや個人情報流出を不安視する国民の間では利用率は依然として上がっていないのが現状。このまま利用率が高まらなければ本来ならばデメリットの多い「資格確認書」を是認した利用制度を維持し続ける必要が生じるため、ダブルでの運用コスト増大や事務処理の煩雑化が懸念されているのです。