次世代Bluetooth規格がもたらすメリット
Bluetooth SIG(Special Interest Group:ブルートゥース標準化規格団体)は先日、次世代「Bluetooth6.0」となる新規格の仕様を発表。中身としては、さらに高速なデータスループット(実行速度)、これまでより高い周波数帯の活用、LE Audio機能の強化、超低遅延HIDの実現が謳われています。今回、この技術的展望を解説します。
主要な改善ポイント
今回追加されたBluetooth Channel Sounding(ブルートゥース チャネル サウンディング)と呼ばれる距離認識。Appleの「探す」、Googleの「Googleデバイスを探す」等を用いたデバイスの見つけやすさを大幅に改善させ、これまでより正確なデバイス位置情報が取得できたり、指定範囲内において承認済みユーザーのみがドアロックを解除したり、セキュリティの保護されたエリアにアクセスさせる堅牢なセキュリティをも可能にさせます。
またアドバタイズBLE(Bluetooth Low Energy対応デバイスによる告知接続)通信を改善、アドバタイズ通信を行うPCやスマホ・タブレット・スマートウォッチ・ワイヤレスイヤフォン・忘れ物防止用タグ等のデバイスがプライマリーアドバタイズチャネルで受信したパケットの内容に基づき、セカンダリーチャネルで関連パケットをスキャンするかを決定、それに伴うスキャン効率の改善が見込まれるのです。つまり範囲「外」のデバイスを探すため以前は行われていた不要なスキャン回数を減らして消費電力を低減できたり、オーディオ再生時などにおける遅延を減らせる効果が高いものと言えます。
紛失防止への大きな期待
Bluetooth6.0技術を活用した鍵や財布、バックと言った持ち物にも取り付けられるBluetoothタグの開発や紛失防止機能を内蔵したBluetoothデバイスの急速な普及も見込まれる新時代の到来を予期させるこの動き。特にチャネルサウンディングを活用した紛失防止用デバイスへ距離認識機能を追加すれば、より緻密なデータ精度とユーザーの利便性向上を狙えます。
これまでは非常に難しかった紛失物の正確な位置情報の特定が容易になり、迅速に取得できるメリットは計り知れません。さらに自動車など乗り物からドアや門扉・金庫・スーツケース等へのBluetooth技術の採用が進んだ現在、キーレスで高いセキュリティを誇る施錠メカニズムが実現しています。
さらにこの技術の採用が進めば、認証デバイスが特定の距離内にある場合のみ解錠を許可するなどセキュリティ強化につながり、高度な制御が可能となる未来が展望できます。
またご高齢層の方々や激しいもの忘れなどに苦しんでいる方向けには非常にメリットの高い話であり、忘れ物や落し物への予防策として最適なソリューションが登場したと言っても過言ではないのです。