災害時におけるマイナ保険証の取り扱いは

先日、デジタル担当大臣が「避難の際はマイナンバーカードとご一緒に」というご発言をされたのは記憶に新しいものです。

マイナ保険証を利用の際、医療機関に備えてある『オンライン資格確認』システムはカードリーダーでマイナ保険証を読み取り、その情報を通信でやりとりするもの。大規模停電や通信環境の悪化が断続的に続けば、こうした機器は電源や通信網を確保できず動かないことが想定されていました。本年12月に予定しているマイナ保険証に一本化後に問題は生じないのか?

今回はこの話題を堀りさげて解説します。『2024年12月』以降のマイナ保険証を用いた本格運用による影響についての解説はこちらから

災害時モードの実施状況

従来通りの保険証であれば被災した場合に備えて保険証のコピーを取り本人確認対応をとる方法もあります。しかし、マイナ保険証一本化後に停電によりカード情報を読み取れない場合には医療難民が大量に発生しかねないと言われていました。

ところが通常時は、薬剤情報・診療情報・特定健診等情報を閲覧するには、本人がマイナンバーカードによる本人確認をしたうえで同意した場合に限られるのですが、災害発生時については、特別措置としてマイナンバーカードを持参せずとも、ご本人の同意のもとで薬剤情報・診療情報・特定健診等情報の閲覧が可能な措置(災害時モードの適用)が実施されており、今回の能登半島地震においても災害時モードでの情報閲覧件数は石川県・富山県を中心に約12,300件(1月16日時点)に上っているのです。

緊急対応措置

また全国健康保険協会のホームページでは、こうした災害発生時に保険証がなくても医療機関を受診できる特例措置が公表されています。その中身ですが、下記の通り。

能登地震による被災に伴い、保険証を紛失あるいはご自宅に残したまま避難された場合であっても、医療機関の窓口において、
○氏名○生年月日○連絡先(電話番号等)○お勤め先の事業所名』の申し出により、保険証がなくても受診ができます。

災害にも強いシステム導入には

しかしながら、上記措置だけでは今回の能登半島地震よりも広範囲かつ大規模な被災が生じた場合に対処出来るのか疑問符がつかざるえないのもまた事実。最悪の場合、「無保険証状態」での受診措置。そうした課題にどう対処すべきか?インフラを整備する国やベンダーにも問いかけが投げられているのです。

激甚災害発生時など緊急事態においても安定的医療網を供給できる体制の構築にはいまだ課題が山積みです。