【本年12月】マイナ保険証の本格運用による影響は

12月2日以降の従来型健康保険証の新規発行廃止を控え、最長約1年の猶予期間を経て最終的な有効期限は2025年の11月末日とされています。
本年の8~9月にかけ対象者の「国民健康保険」、「後期高齢者医療保険」等の紙保険証の一斉更新と送付が続いており、今回、自治体等から発送された健康保険証も上記の期限後には使用できなくなります。

実態として2024年7月末時点におけるマイナカードの保有枚数は約9,300万枚であり総人口における保有割合は約75%、12月に向けた駆け込み需要も考えられ、従来型保険証廃止までにマイナカードの取得枚数は全国民の約80%程度となる9,900万枚ぐらいまで増加することが予測されています。

猶予期間の経過後は

マイナ保険証を利用申請されていない方には「資格確認書」と呼ばれる保険加入の証明用書類が送付され、保険診療を受ける際には必要となってきます。実際のところ、マイナ保険証を保有していても健康保険証としての利用登録を済ませていない場合もマイナカードはマイナ保険証として使えず、確認書を使わざるえないことが判明しています。

またマイナ保険証利用登録の解除申請も可能とされ、マイナ保険証の「紛失」時には手続き後、再交付を待つ間に保険診療を受けたい方向けにも資格確認書が交付される方針も明らかになっています。とは言えマイナカードの再交付に要する期間はシステム改善で最短3~4日が予定されており、よほどの緊急を要する事態に陥らない限りは資格確認書の交付は不要にさせる方針です。

資格確認書のデメリットは

マイナカードを持っていない方や持っていても保険証としての利用申請をされていない方には、申請せずとも無料交付される「資格確認書」ですが、利用にはデメリットもあり「要」注意です。
職業や年齢層などの属性により発行元が異なり、有効期限もそれぞれ違うため下表にまとめました。

属性ごとの発行元・有効期限
属性発行元有効期限
会社員勤務先の健康保険組合(社保)最長5年(組合により異なる)
個人事業主市区町村の国民健康保険(国保)1~2年
75歳以上の後期高齢者後期高齢者医療広域連合1~2年
※参考情報(マイナ保険証)地方公共団体情報システム機構等5年

また窓口での負担額も両者で違っており、下表にまとめました。

受診時の診療報酬加算額
初診時再診時調剤時
マイナ保険証6円0円3円
資格確認書12円0円9円

機能が簡素化されたマイナ保険証の登場

病院等の窓口に設置された顔認証付きカードリーダーに入力する電子証明書の暗証番号を覚えられない前後期の高齢者等の方々向けには、昨年12月から暗証番号が設定不要なマイナ保険証への新規発行・切り替えが推奨されており、そうした方向けの暗証番号設定が不要なマイナ保険証が既に使用され始めています。ただし、そうしたマイナ保険証ではコンビニ端末で住民票取得ができなかったり、マイナポータルにログインできないと言ったデメリットが指摘され、デジタル化社会における利便性は若干ながらとは言え下がらざる得ません。

利用に際する注意点

窓口における不具合発生、ネットワーク障害、災害など色々な要因でマイナ保険証の利用に支障をきたして物理的に保険資格の証明ができない場合には、どうすべきなのでしょうか?
自己負担額をいったん全額の10割支払うことも出来ますが、高額過ぎて払えないや持ち合わせがないパターンが発生して物理的に払えない事態も考えられます。そうした事態を避け、なんとか保険資格を証明するにはどういった対策が必要となってくるのでしょうか。

実は厚生労働省からはそうした事態に備え、「3つ」の対策が提示されています。

①、一つ目は政府が運営するマイナポータルへログイン、健康保険証の資格情報を提示する方法

②、二つ目は被保険者資格申立書を記入して提出する方法

③、マイナ保険証利用登録後に自治体や勤務先から送付・配布される「資格情報のお知らせ」を持参して提示する方法

①では来院者が手持ちスマホ等を用いてマイナポータルにログイン、健康保険証の資格情報が表示された画面をマイナ保険証と同時に提示して自己負担割合を本来相当分に戻させる方針です。もしくは資格情報をPDFにしてダウンロード、ダウンロードされたPDFファイルが表示されたスマホをマイナ保険証と一緒に提示しても同様に認めることとしています。

②の申立書は医療機関から渡されることがほとんどですが、ネットからダウンロード・印刷後に事前に記入して提出でも大丈夫です。再診時には、資格情報に変更がないことを患者側は口頭で確認され、申立書に記入すべき情報を医療機関側が既に把握していれば、申立書の記入と再提出を省けるとされています。

③では、送配付されたお知らせ書類をマイナ保険証と一緒に提示することで、資格の有無を証明することができます。そうした場合には持参する必要があり、なくさぬよう管理が重要となってきます。

予測される混乱と将来的展望は

本年12月の廃止時には、切り替えによる窓口での混乱が予測されています。使えるはずのマイナ保険証が使えない事態にも準備万端に備えておくこと。
窓口での医療費自己負担のいったん全額払いを避けるうえでも、対策を知って備えておく必要があるのは当然のことです。

今回のシステム開発・構築に投入された税金は実は天文学的な額、納税者・利用ユーザーである国民として今さら使えないや戻してほしいなど不平不満を言い募ることは無責任と言わざるを得ません。旧態依然としたシステムに戻ることはもはや、不可能な情勢となっています。

全国民をあげてのDX時代を迎えて「いかにして活用していけるか?」「使いこなすにはどうすればいいのか?」
建設的意見がこれからは大切になってくるのです。