サプライチェーン攻撃の脅威と防御

防御の手薄なグループ子会社や中小企業の取引先を踏み台にしたサプライチェーン攻撃はここ数年来大きな脅威となってきましたが、近年ではソフトウェア開発基盤を狙ったソフトウェアサプライチェーン攻撃も登場、オープンソースのライブラリやパッケージを悪用した手法が見られ、組み込まれたコードや依存ライブラリから開発者アカウント乗っ取りや悪意あるプルリクエストなどの手口があきらかにされています。

脆弱性への対処

近年、脆弱性情報が発見されてから悪用にいたるまでの期間が大幅に短縮、25年の平均20日前後から26年は数時間と大きな脅威となっており、AIの登場により脆弱性への攻撃スピードが早まり、パッチ適用スピードも当然アップすべき必要性が高まっています。同時にパッチ適用を見極めるトリアージ作業には慎重さが求められ、対処を手作業でこなすことはもはや現実的ではないのが実情。

常日頃から攻撃からの備えをすべきであり、攻撃の到達前にブロックするWAFやプロキシなどの手段は当然考えておくべき最低ライン。セキュリティパッチ適用決定の是非もまた高度な判断が求められ、その判断に必要な技術や知見を踏まえた判断を下せる「セキュリティエンジニア」などの専門家は足りていないのが現状。

対策の必要性

やはりパッチ適用を手動や人手に頼らず、AI等を用いたセキュリティ自動化導入や専門的判断を下せるエキスパートによりスピードアップすることが不可欠。それとともに各部門とエンジニア、ステークホルダーが一体となってセキュリティへの取り組みを目指すことが求められます。今月、大手冷食企業グループで発生した不正アクセスによるシステム障害がもたらした影響は各方面へと甚大な被害をもたらしたことが報じられています。

メーカーと物流事業者には動揺が広がり、製造から保管、配送までのシステムに広範に亀裂が入ってしまう事態を招きました。従来型のEPP(Endpoint Protection Platform)やEDR(Endpoint Detection and Response)などのセキュリティ対策だけでは不十分となりつつある現状が垣間見えます。より強固で堅牢なセキュリティ体制を構築するには、SASEの導入や高機能なプラットフォームへの移行も検討課題とすべきかも知れません。

現場でよくあるのが監視機能を十分に活用できず、運用が形骸化。膨大な検知アラートに埋もれてしまい、本当に対応すべき脅威をスピーディーに見極め対処することは難しく、限られた人員で効率的なセキュリティ運用を実現するには限界があります。またインシデント発生から報告までのタイムラグは迅速な対応が必要な状況では手遅れになりかねません。レポートでは、初動対応が遅れる危険性がつきまといます。そのためランサムウェアでPC等の端末が使用不能となっても、スピーディーに復旧できる仕組みや体制を整備することが重要。PC更新時に発生するOSアップデートやアプリ導入・設定作業についても、負荷を軽減するには相応のコストと人員配置が必要となってきます。

セキュリティを始めとしたIT人材不足が深刻化するなか、マネージドサービスやBPO(Business Process Outsourcing)の導入、運用負荷の軽減を前提とした設計思想が広がりつつあります。こうした背景にはセキュリティ等を始めとしたIT製品の機能比較にとどまらない「いかに運用工数を削減してスマートに運用できるか」視点でのシステム・ツールの選定ができるかが企業に問われ始めているのです。